「木漏れ日」PERFECT DAYS ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)
木漏れ日
ヴィム・ヴェンダースによるTOKYOとTOTO(いや違うけどw)についての抒情詩。
知ってる東京だったりどこか懐かしい東京だったりの景色を、ヴェンダース選曲のBGMとともに観ているだけで泣きたいような気持ちになってくるが、平山は敢えて淡々と暮らしているように見える。
劇中で平山がいうとおり、「この世界にはいろいろな世界が含まれていて、それらが繋がっているようでいて、本当は繋がっていない」のかもしれない。
平山の世界は妹とニコの世界ともママの世界とも、タカシの世界もアヤの世界とは、繋がっているようでいて繋がっていない… でも思いも掛けないところで思いも掛けない人の世界と繋がっていたり…
最後に解説される「こもれび」のように、繋がっているようで繋がっていない世界の、重なって影が濃くなったり薄くなったりする様がこの世界なんだ、とただ淡々と繰り返されるような平山の生活が、それを物語る。
そうしたありようを描くのに、ふだん不可視化(透明人間化)されやすい清掃員というのはとても分かりやすいのかもしれない。
毎日淡々と繰り返しもうこれ以上の変化を望んですらいないような平山の感情もこの年になると分からなくはないけれど、それでもやはり心動かされることというのはあるのだな、と思う。
伝わらないかもしれないけど、褒めています。なんだかよく分からない部分に沁みてしまった…