「ヴィム・ヴェンダース監督が切り取った東京が素晴らしく魅力的」PERFECT DAYS Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
ヴィム・ヴェンダース監督が切り取った東京が素晴らしく魅力的
セリフが圧倒的に少なく、その分 映像が今の時代 個性的なスタンダードサイズの画角で秀逸のため、観るより”感じる”という印象が強い作品だと思いました
主役の平山を演じる役所広司さんでさえ、ほとんど喋らない不思議な魅力を放つ良作でした
が、そういう雰囲気とストーリーというストーリーが無いので、退屈に思う人も多いかもしれません
大好きな東京の風景
煌びやかな東京スカイツリーから雑多な浅草駅の地下街まで、ヴェンダース監督が美しく情緒豊かに”ニッポン”を撮ってくれていて、とても嬉しくなります
主人公 平山がトイレ清掃員として働く、渋谷にある数々の個性的な公共トイレ
平山の住むメチャクチャ味のある(ありすぎる 笑)アパートや銭湯を墨田区某所にて
そして平山が行きつけの下町情緒溢れる一杯飲み屋を浅草で
など、徹底してロケ撮影にこだわっただけあって、本当に素晴しい東京の風景が描き出されており、何度も好きで行っている東京ですが、また訪れたくなりました
ルーティーンの暮らしに生きる平山ですが、そんな中でも毎日は違いがあって、嬉しい時もあれば悲しい時、困ったと思う時、など そよ風レベルの違いを愛おしく思い、毎日を噛み締めて生きていく
そんな生活に一番の幸せを感じ生きている
という寡黙で何とも哀愁漂う男を役所広司さんが静かに力強く演じており、素晴らしかったです
日々の喧騒から開放され、全てをノイズだと思い、必要最小限の物と好きな物だけを身近に置き、生きていく事ができたらどんなに楽な生き方だろう、と考えてしまう秀作でした