「『おじさんが便所掃除してるだけ』」PERFECT DAYS SOさんの映画レビュー(感想・評価)
『おじさんが便所掃除してるだけ』
アベンジャーズ映画を「世界を救うだけ」と言わないように、おじさんだって日々いろいろな出来事を経験して喜んだり悲しんだりするし、便所掃除だってぐっと近寄ってみれば知らなかったいろいろなことに気づく。
我々がついひとくくりに「だけ」と軽視しがちな事も、こんなに細かい要素から成り立っていて面白いんだという事を教えてくれる。
役所広司の演技に支えられている部分も大きい。映画の前半彼はほぼ無言だが、たしかな演技力によっておじさんの人となりが表現されている。所作はどことなく上品で、整った部屋の様子などを見ても分かるが貧すれど鈍していない。これは中盤で理由が示唆されるが、はっきりと伝えず視聴者の想像に任せる形になっている。
エンディングで彼が泣いていた理由は何だったのだろう。朝日が眩しかっただけかもしれないし、出会った人々のいろいろな出来事に対して自分の日常があまりに平坦で虚しくなったのかもしれない。
終わったあと気持ちが良い映画だった。
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