劇場公開日 2023年12月22日

「ヴェンダース監督のあたたかい目線」PERFECT DAYS ボブさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ヴェンダース監督のあたたかい目線

2023年10月29日
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今年いちばんの映画。トレイラーを観たときからの共感度は尋常じゃなかった。そして本編。もうね、ずっと心が満たされたしいろんな想いが溢れてきた。このドライな現代に出現した奇跡的な作品だ。役所広司さん扮する平山のおだやかな顔をみてるだけですごく安心したし感動してしまう。たぶんそれはヴィム・ヴェンダース監督の視線でもあるからだろう。ヴェンダース監督の人をみる目はどこまでもあたたかい。特に弱い人々にそっと寄り添う。そういった意味で「ベルリン天使の翼」のようだ。それに東京をこれほど魅力的に撮りあげたことに驚嘆したし、感謝しかない。セリフはかなり少ない。余計なリアクションもない。だからこそ平山のセリフひとつひとつに強いメッセージを感じる。セリフのひとつに「この世界は、ほんとはたくさんの世界がある。繋がっているようで繋がっていない」的なものがある。物事は見ようによっては悪くも映るし大したことじゃないようにも映る。うん、そうだよね。そういうことだよね。ときおり笑いを挟む演出も上手い! ラストシーン。ここでは役所さんの力量をみた。演技というより役所広司という人間そのものが滲みでたショットだ。彼の表情だけでこれほど感涙するとは。。そして平山のモノクロの夢は「8 1/2」のグイドの夢を連想させられて示唆的でとてもよかった。いやぁ、こんなに味の濃い映画にはなかなかお目にかかれないね。音楽もサイコー。サントラ出たら買おうっと(^^)

ボブ