「教会/世俗のイタリアの断裂線を描く妙」エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 Boncompagno da Tacaocaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0教会/世俗のイタリアの断裂線を描く妙

2024年5月10日
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鑑賞方法:映画館

イタリアの歴史に走る断裂線、教会/世俗の上にユダヤを配置して見事。カトリック教会の独善的な思考(あらゆる新思想を否定した誤謬表、教皇不可謬性)がピークに達した頃にリソルジメントの国家統一が重なった時期の問題性を一人の少年の運命により語ったのが見事。原作の力もあろうが、近代にぶつかったカトリック世界を絵巻物のように描いたのには感服するしかない。イタリア近代史を知る基点にもなる時期、教材にもよし。

Boncompagno da Tacaoca