ポトフ 美食家と料理人のレビュー・感想・評価
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多くを語らない恋愛映画
フランスの恋愛映画。料理が色鮮やかで魅力的。前半〜中盤は鮮やかで楽しい映画だった。後半はストーリー的に少しもったりするのは仕方ないが、もう少し盛り上がりは欲しかったなぁ。
全てが美しい作品
ハァ~。 全てにおいて、ため息が出るほど美しかった。 交わす視線が互いを想う慈愛に満ちていて、 スクリーンからも温かい空気が流れてくるようで、ため息。 ジュリエット・ビノシュの洋梨のようなバックヌードも素晴らしくて、ため息。 愛に溢れた料理の数々に、ため息。 台所の装飾、衣装、光の加減、二人が交わす言葉、料理を作るときの所作、 そして、 大人の恋愛をここまで美しく描いた監督の素晴らしさに、感動のため息。 食が、いちばん欲望に近い、ある意味、官能的な作品だと思う。 「青いパパイヤの香り」のトラン・アン・ユン監督と後から知って納得。 映像が素晴らしく美しかったことが心に残っているもの。 この作品も、本当に美しい、という言葉がぴったり。
主役の二人が、、
長いキャリアのピノシュとマジメルの二人が、今だ健在でしっくりいってるなあと思ったら、お付き合いしてたんですね~。特にマジメルは、同じフランスの名優ドパルデューの変貌ぶりに比べると、二枚目路線を守っていて偉い!映画は、見終わったらちょっと贅沢しても、フランス料理を食べたくなるようなビジュアル的に非常に魅力的。今ドラマでも料理を作る場面が見せ場の作品が多いですね。
やや長かった感はあるかな でも食が美しい 次から次へと手際よく仕上...
やや長かった感はあるかな でも食が美しい 次から次へと手際よく仕上げられ出来上がっていく美味しそうな料理たち それと厨房に注ぐ柔らかい日差しの感じが、より料理の見栄えを引き立てる ポーリーヌが、ソースだけで、食材を言っていくのは、さすがに驚いた すごい味覚の持ち主だし、それぞれの食材の味を知らないと言えないよな、と そして、ウージェニーに待ち受ける運命が予想外の展開 てっきり料理を中心に話が進んでいくんだと思っていたから けれど、結果的に料理が中心だったんだな 食と生、なのかなと 淡々と進んでいくような感じがあるし、展開していく感じも強くないし、時間の問題もあって、やや長い感じはさてしまった それでも、季節や自然、陽の光、人の生、そういったものを料理を中心に美しく描いた作品だったと感じた
その一言が…
美食家である主人公と、確かな料理の腕をもつ長年のパートナーとの物語を垂涎モノの料理シーンを通しながら描いた作品。 パートナーと言っても、結婚している訳ではない模様。ドダンは常々結婚を申し込んでいたようだが、ウージェニーはぼんやりとそれに応じず。 ある時、お偉いさんを饗す話が来て息巻くドダンだが、そんな折ウージェニーが病に倒れ…。 料理メインというよりは、2人の関係性を軸にしたドラマ作品ですね。とは言え、ジュージューと音を立て作られる料理の美味しそうなこと…。 こんなにピッタリな2人なのに彼女は何故中々結婚に応じなかったのか。実はこうなるってことをわかってたからなのかな?何て思ったりもしたが…。 昨日も結婚観に関する深い作品を観たが、ある意味本作はそれ以上かも。基本的には終始、料理をじっくり作るシーンばっかりで、長いな〜なんて思っていたが。 しかし、ラストシーンは最高だった。 もしかしたら今年1かもというくらい。 そこはそう答えるか〜、、、なんて思いつつ、ウージェニーの料理人としてのプライドは、愛するドダンにとってそうであってこそ1番の幸せだったのかな。 なんて無理矢理解釈しながら、最後の最後でガツンと効かせてくれた作品だった。仲間達の心強さもグッドですね。 そして本作にもまた…ヴィオレットさん儚くて美しすぎる!ここへ来て今年No.1ヒロインのデッドヒートが始まってしまった(笑)
美食倶楽部
ひたすら料理と食事シーンが続き、それを通して物語の背景が語られる あんな広い台所があり、それを作る(食べる)愛しい人がいることの幸せ ジュリエット・ビノシュが相変わらず美しく、「ショコラ」でも絶品チョコレートを作っていた事を思い出す 主人公の二人は実生活でも夫婦だったらしい(それもフランス人っぽい)
予告と全然違います
美食家ドダンと、彼の料理人ウージェニー。ウージェニーはドダンのイメージを的確に掴み料理に反映してくれる天才です。もう20年も共に過ごしています。ある日彼女が原因不明の体調不良で倒れます。死ぬほど心配したドダンは、どんなに彼女を大切に思っているかを示そうと、彼女だけのために腕をふるいます。彼の渾身のコースを口にしたウージェニーはついにプロポーズを受け入れます。2人は仲間の祝福の中結婚しました。その幸せはずっと続くものと思われましたが、病魔はウージェニーを蝕み続けていて…。 予告だと「高貴な人をポトフでもてなす事にしたわよ!何!?ポトフなんて家庭料理じゃあないか。貴人に受けるのか?試行錯誤の結果宴席は大成功。停滞していた美食家と料理人の仲も深まり結婚に至る…」と言う物語を想像したのですが、全然違いました。貴人の話はメインではありません。何と言うか、人生と友情の話に感じました。 実際ドダンの仲間の紳士達は信じられないほどいい人ばかりです。ウージェニーを女と見下すことなくリスペクトしています。ウージェニーの焼き菓子に群がるところなんて可愛らしいかったです。美味しいものの前では、みんな素直になってしまうのでしょうか。終盤、打ちひしがれるドダンの為に何くれと無く尋ねて世話を焼いてくれるし、どうしたらこんな良い友人に恵まれるのかと羨ましくなりました。 悲しいことがあっても、生きなきゃいけない。ずっと悲しみに浸っていたくても、いつか自然と受け入れる日が来てしまう。辛いけど、そういうものなんですかね。それとも友達や知人がいてくれるから乗り越えられるのか。少し考えてしまいました。 この映画は料理が出来上がる過程がとても丁寧に描かれています。畑から野菜を吟味して収穫し、切って、焼いて、こして、また焼いて。スープやソースや肉のローストを作るのに幾つもの工程があり、それらをつぶさに見せてくれます。そしてそれらをホストの美食家が切り分けて、客が美味しそうに食べるところまで。多分見る人によってはいささか長くかんじるかもしれませんが、私は没入できました。YouTubeで時短料理ばかり検索してるけど、休日だけでもひと手間、ふた手間かけてみようか。そう思わされました。 それからジュリエット・ビノシュの洋梨のシロップ漬けのような肢体(本人ですよね?もし別のモデルさんとかだったら恥ずかしい。)美しかったです。ダイエット民の洋梨体型では無く、横たわった時の体の線です。
カメラワークと映像美、脳内美食で満足。
ビノシュ初めて見たのはカラックスの「汚れた血」。あのころドレピューの方が好きだったなぁ、、 もう遥か昔のことじゃ、、、、。 話は料理研究家?と料理人の話。 大人の愛、プロの信頼関係、友情と少しの蘊蓄。 若い子や食に興味の無い人やエンタメ好きの人には物足りない映画だと思うが、わたしにはドンピシャ(死語)だった。 鬼のように美しい映像と流れるようなカメラワーク。押さえた演技とドラマチックにしない演出。 余計な説明のない脚本もよいのかも、、 なんかいいバランスだ!カッコいい!自分を大きく見せてなんぼという最近のビジネス潮流にうんざりしてるんで、作って勝負みたいな職人の世界に憧れる。 素材のハーモニーって言ってたけど、この映画もガチャガチャしない良いバランスで大人の味だった。 音楽はほぼ無しで牡蠣の殻外してる所とか料理の音と料理人の息づかいが生々しく胃袋直撃です。 アーニャテーラージョイに似た才能の塊みたいな女の子ボニーシャニョーラボワールが出て来て希望を繋ぐ。 どっちも名前長いなぁ、、。 はい、目が離れてる子が好きですがなにか?
料理・フランス映画が好きな方にはおすすめ。
今年432本目(合計1,082本目/今月(2023年12月度)33本目)。 (参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで)) タイトルの「ポトフ~」については、確かに料理としてのポトフは出ますが、それ以外の料理も多く出てくるし、「ポトフ映画ではない」点に注意です。またフランス映画であり、「ポトフ映画ではない」とはいえ実質「料理映画」には分類されうるのでいい匂いがしそうな(映画館からはしませんが…)タイトルです。 ただそのことは日常生活パートがかなり多く、映画の中で何か大きな「事件」が起きるわけではない(少なくともアクション映画とは絶対に言えない)わけで、一応いくつか区切りになるイベントはありますが、物語自体がきわめて平坦に進んでいくという特徴的な部分を持つという特殊な映画ではあります(何かキーになるイベントはあるといえばありますが、それとて話が極端に変わるわけではないし、実質2時間、フランス料理を色々見たり食べたりをずっと見ている状態の映画と考えたほうがよさそう)。 ただこの点はそういう趣旨の映画もあるのだろうと思うし、フランス映画は何らかの意味で余韻を残す映画(趣旨は自分で考えてね、というもの)が好まれ、この映画も展開が平凡「過ぎる」ところはありますが、この映画にこめられた主義主張は何なのか…は一人ひとり答えは違うのではないかな…と思います。 個人的には100年か150年かくらい「少し前」のフランスにおいて、肉も魚もじゃがいもほか野菜など「食べられるもの」を全て「料理として昇華して食べつくす」という、「この意味における」、日本にいう「いただきます」の文化が流れているのではないかな…と思ったところです。 採点は下記が明確に気になったところです。 ----------------------------------------------------------- (減点0.3/クレメンス6世のいわゆる「アヴィニョン捕囚」について) この話、および、グレゴリウス11世によってこれが終わること(歴史としては70年続いた)ことがいきなり話題になるところ、料理と一応「結び付けられて」登場しますが(フランス料理のトリビアのようなものとしての扱い)、この点は高校世界史でちらっと学習するにすぎず、このあと(=グレゴリウス11世による捕囚の終了)の「教会大分裂」(当時のフランスはカトリック教が主流で教会は一つだったが、派閥ができたりして混乱した時代があった。これも40年続いた)の話も、一応は高校世界史で学習しますが趣旨的に後者はミッション系学校で扱うのではなかろうかというような内容のレベルで、一応、映画の趣旨である「フランス料理」に関するトリビアの一つとしての扱いで出る(換言すれば、どうでもいいところで突然出てこない)点で何とかなるかなのレベルで、ちょっといきなり(料理映画でいいなぁ、と思っているところに)この字幕でこの話題は厳しいかな…といったところです。 -----------------------------------------------------------
ビノシュは出てるだけで存在感あり。でもこの監督は、作品がはっきりし...
ビノシュは出てるだけで存在感あり。でもこの監督は、作品がはっきりしない人なのでイマイチ。
とにかく美しい調理シーンだったなぁ
小学生の頃(昭和)、給食が食べられずひとり残される辛い日々でした。そのせいか、大人になってからフレンチのコース料理は苦手意識しかなかった。フレンチはお皿の上を全部食べないと次が出てこないし(フォークとナイフを揃えれば残しても下げてくれるとは知らんかった)、食べたかどうかをギャルソンにチェックされる視線が痛くて。 そんな私でも冒頭の調理シーンには目を奪われました。最低限の指示+阿吽の呼吸、手際良い進めっぷりに「どんな料理ができるのかな」とワクワクしました。映像が美しく、小鳥やネコの鳴き声が聞こえるのもいいですね。 ドーンと大きい銅製の鍋。これって何人分?30人分くらい?と思っていたら、たったの6人分!美食家の皆さんの食べる量はすごいのね・・・。仕上げのデザート(ノルウェー風オムレツ)もワンピースの量が多いことにびっくり。なぜノルウェー?ってことより、そんなに食べられる?と思ってしまいましたよ。美味しそうでしたが。 それにしても何度もオーブンに入れたり、何度も漉したりと、フレンチは本当に手をかけて料理をしているのだと改めて感心して観ていました。 新しい料理人の面接の時、ドダンの説明が文学的かつ抽象的で美しい表現でした。それを理解してお皿に具現化できるウージェニーは天才ですね。ジュリエット・ピノシュは「ショコラ」同様に魅力的な女優で「Winterboy」も観たいです。
流麗カメラによる圧巻映像を堪能
これぞ映画です! 映画の持てる利点をフル活用、めくるめく映像体験を静逸に仕上げたトラン・アン・ユン監督は流石の名匠である事を証明した。彼のそぎ落とした流儀をわきまえた撮影監督のジョナタン・リケブールがまた圧巻です。 冒頭の30分に及ぶ調理のシーン。無理に無理を重ねたノーカットではないけれど、人物の動きに寄り添い複数の人物に次々と乗り換え追うカメラ。人物から料理へ、鍋の中まで覗き込むスムースな移動撮影。しかもカメラマンが追う事による画面ブレが一切ないのが驚愕です。多分、一挙の撮影の上で無駄な余白はカットしたのでしょう、あの調理場の中だけで30分を費やす暴挙をやってのけ、それが映画的カタルシスまで昇華しているのですから凄いとしか言いようがありません。 この方の前作を調べましたらなんとフランス版「キャメラを止めるな!」の撮影をなさっていたとか、あの地獄の撮影が本作で実を結んだと言って構わないでしょう。しかしそれにしても湯気でカメラが曇らないのも素晴らしく、食材の色彩の変化、調理の音、食器の音、外から聞こえる鳥の鳴き声までも収める。しかも19世紀末の設定で照明も最小限に絞った自然のまま。 なによりキッチンのど真ん中に鎮座する巨大なテーブル然とした何口もあるコンロ? あの分厚い鉄板の下は薪?石炭? あの全面が熱いのか丸く印のある所のみが熱くなるのか? まるで分かりません。少なくとも日本の「かまど」とは大分様相が違いますね。いずれにしましても変な例えですが、日本の部屋毎暖房に対し、欧米ではセントラルヒーティングの贅沢と一緒ですね。 対する役者さんも凄い意気込みで感服です。ジュリエット・ビノシュはもちろん、超イケメンも老けてしまったブノワ・マジメルもフランスを代表する大スター。普段はきっとあんな料理をいつも召し上がっているのでしょうが、ここでは調理する側に挑戦です。一歩間違えれば大火傷やケガのリスクを乗り越えての役者魂には感動すらしてしまいます。そしてさらに美少女が機敏に調理のサポートをする、「青いパパイヤの香り」の無垢な少女を否応なく連想させる。セリフは最小限で、総ては料理に奉仕のスタンスだからこそ成し得た領域でしょう。 お話はなんてことなく、美食家の神髄極めに尽きますが、ラストで圧巻のカメラの回転(パン)撮影により、主人公2人の結びつきに収斂させる技は素晴らしい。多分貴族の末裔なのか、大金持ちなのは確かで、領土内の菜園やら家畜を抱え、自然の恵みを最大限に活かす。まるで素材と対話するが如く。その自然の命を頂く人間の崇高なまでの探求心こそが本作のテーマでしょう。 ソースを一口味見して、その沢山の素材から調味料までも言い当てるなんざ人間業とは思えない。よく言いますよね「日本人の繊細な舌に・・」なんて言う日本人の優越感をくすぐる低能な表現。フランス人の極めもとんでもないレベルなんです、ワインやらシャンパンへの蘊蓄も日本人の理解を超えている。すなわちどんな民族でもそれぞれの味覚を有する当たり前を、受け入れリスペクトしたいものです。
食と人生の悦び
食と人生の悦び、そして喪失と回復(の予感)を美しい映像で描き切った作品だった。 冒頭のシーンから4人でまるでダンスするように料理し、映像からもゲストたちの表情からもその愉悦と官能を堪能できる。上映時間長いなと、見る前は思ったがこれならいつまでも観ていたい。 その官能はウージェニーのための食事のシーンで最高潮に。洋梨のコンポートの官能的な様といったら…(パンフで見たら「ベル・エレーヌ」という料理でした…) まだ幼いポーリーンの美しさにも恐れ入ったが、ジュリエット・ビノシュはもう神懸かってましたね。女性の美を若さばかりに求めないフランスの面目躍如、って感じ。 あと素晴らしかったのが撮影で、現代化されていないフランスの光景はとにかく美しいし、料理や屋内のシーンは被写界深度をごく浅くして回りを美しくボカしているにも関わらず、その都度必要なところにビシッとピンが決まってて技術的にも素晴らしかった。 コレもっと宣伝して広く観て貰うべき傑作だった。お薦め。
料理は爆発💥だ‼️
料理は芸術なんだろうけど… 20年間ひとつ屋根の下で暮らした料理人(女性)と美食家(男性)の話 料理はとても美味しそうで、食べたくなるんだけど、下ごしらえをあそこまで撮るのは… 折角料理人と美食家は結ばれるのだが、料理人が… 絶望に苦悩する美食家は、料理人との一緒に過ごした時間を忘れる為に… 料理は奥が深いな〰️とは感じたが、だからなに❔と最後もよくわからん😵🌀終わり方 ポトフは食べて〰️
洋梨とジュリエットビノッシュのオシリ
それにつきる ラ·フランスよ だが、それだけじゃ身も蓋もない。 かつては本物の夫婦だった彼らが演じた濃厚ソースドラマ。 冒頭から、魚の肝をソテーにして、アラを野菜とともに煮詰めて、何度もグリルにいれる仔牛肉にかけるソース。 コテコテやん。 ちょっと食傷気味に ジュリエットビノッシュは背中とオシリ健在でした。 ジュリエットビノッシュはいつまでたっても夏の女でシュ。
東洋思想とフランス流ガストロミが融合した奇妙な味わい
エスコフィエが38歳、というセリフが出てくるので1884年か1885年の設定ということが分かる。 清仏戦争がありベトナムがフランスに割譲された頃。ひょっとしたらトラン・アン・ユンは意図してこのセリフをはめ込んだのかもしれない。 冒頭、延々と美食家と料理人が友人たちとの午餐のための料理をするシーンが続く。スープからデザートまでコース一式が出てくる。場内ではいびきかいてる人もいたし後でロビーでそこが長いって文句を言ってる人もいたけどここは料理の個性というか思想を紹介しようとしているところなので映画の肝になりますね。ただ年代的には当然なのだけど、彼らの料理はトラディショナルなフランス料理の範疇で、バター、クリームとフォンを多用した重厚なものであることは変わりはない。新鮮な野菜をドッサリ使っているところとフォンが魚ベースであるところが魅力なのかな。 ユーラシア皇太子(これがどこの人なのかよく分からない。モンゴル人っぽいから中央ユーラシアのウズベキスタンとかトルメキスタンあたりか?)のお招きのメニューのバルザック流というか満漢全席のえげつないものに比べればモダンなんだけど。ちなみにユーラシア皇太子にポトフを供するプランは料理人が死んだので実現しません。もしやってたらちゃぶ台ひっくり返されていたかも。 美食家が最後の方で、自分の料理について、言葉で説明をします。これが調和に重きをおく東洋的な思想に彩られているようでした。最後の「料理人か妻か」っていう問いも禅問答みたいですね。 ヨーロッパでは絵とか音楽が19世紀末に東洋の影響を受けたことは確かです。でも料理までそのような流れがあったのかどうか。多分にトラン・アン・ユンの創作によるものとは思いますが。そういう意味では、この映画は「バベットの晩餐会」や「ショコラ」のようなガストロミ(食文化)系というよりは「ディーバ」とか「キッス・オブ・ドラゴン」などと同じフランスを舞台とした東洋趣味の作品だと思うのです。(長々書きましたが私は嫌いではありません)
料理は文化だ、芸術だ
大半が調理シーンとそれを食べるシーンというユニークな映画だが、十分に楽しめた。ワンカットで丁寧に描かれる調理シーンに関心を持てるかどうかで、評価は左右されるだろう。ストーリーはシンプル。「ポトフ」という題名から誰もが予想する展開は、肩透かしをくうので減点。 光と影の屋内シーン、たまに挟まれる屋外シーンの美しさには魅了された(監督は「青いパパイヤの香り」のトラン・アン・ユン)。ブノワ・マジメルが魅力的だった。
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