ポトフ 美食家と料理人のレビュー・感想・評価
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タイトルだけで優勝!
なんて優雅で品がある、まさに口福の極み!
冒頭から料理大事典から飛び出してきた様な華麗な料理…スクリーンから香りや湯気までも溢れてきそうなほど芸術的な料理過程に魅了されっぱなし!
仔牛のポアレなんぞ恥ずかしながら喉が鳴りそうになりました💦
情熱の全てを料理に捧げる美食家と料理人…
深過ぎる料理への想いと絆で結ばれる2人の愛の物語であるところがザ!フランス!
美食家ブノワ・マジメルと冷静かつ甘美な魅力を放つ料理人ジュリエット・ピノシュ
贅沢過ぎる完璧なキャスティングだ!
そこに絡む絶対味覚の見習いの少女
絶対的・美少女な彼女に今後も注目したいし
料理の監修をしたピエール・ガニュールも皇太子専属シェフ役でちゃっかり出演したりして…
フランス代表作の奥深さを充分に堪能出来ました
静かなのに奥底では熱い
ユーラシア皇太子に晩餐会に出された料理が不満だった美食家が、考えられる最上の料理で逆に皇太子をもてなそうとする。選ばれた料理はポトフ。ただの家庭料理とも言えるポトフでどうもてなすのか?料理人との試行錯誤が始まる…。
みたいな映画だと思っていた。いや、この内容ならポトフってタイトルにしちゃダメよ。ポトフなんて…と訝りながら食べ始めた皇太子が、むさぼるように完食するクライマックスを待っていたのに。
とにかく調理して食べての映像が繰り返される。冒頭なんかかなり長い調理シーンだった気がする。でも、三つ星シェフが監修しただけあって相当に美味しそう。料理好きな人ならこれだけでも観る価値はあるかも。
美食家と料理人の愛の物語として頭を切り替えて観ていたが、それもどうやら違う。料理でつながり、料理を通して関係を深めていった2人だからこそのラストシーンはグッとくるものがあった。イメージしていたものとはだいぶ違うけど、これはこれで悪くない。とても静かに話が進んでいくのに、奥底では2人の料理への熱い思いが燃えていた。まるで火にかけられた鍋のよう。はっ!だからポトフという邦題にしたのか!(たぶん違う)
【料理は愛情‼︎ by結城 貢】
知識と教養に裏付けられた、機知に富んだ気障な台詞回しと世界に誇るフランス料理、これぞ自立した男と女の大人の仏映画。
レシピを粛々と熟していく調理工程の様式美と自然光に映える食材、ドキュメンタリーを観てるかのような長回し撮影と繊細な画角、料理は味覚だけでなく五感で堪能するもので、料理人は芸術家であり科学者であり哲学者だと思わせてくれる、併せて料理人の社会的地位が日本と比較にならない程に高いことにも妙に納得させられた。
調理器具に調度品、インテリアから当時の上流階級層の衣装まで、象徴的な照明と色合いも相まって楽しめた。
但し粉もん文化の庶民階級出身としては、蘊蓄抜きに美味いもんは美味いでええやないかとも⁉︎とりあえず料理も恋愛も準備と下拵えが大事だと勉強させてもらいました。
最後の
二人の遣り取りにビビッと来ました。それまではちょっとダラダラ冗長だなぁ、ユーラシア皇太子向けのポトフはどうした?と思ってました。愛する女性の為、必死に料理する姿じーんとしましたし、崩れた躰でも愛しい気持ちが見えて良かった。それに「ちゃんと」メソメソしていたので意外にすっきり。
パイ生地にザクッと切り込む音と感触、雑?に取り分ける感覚は日本料理には無い感覚。スプーンで直に味見する所も。
お腹すかして見よう
大好きなトラン・アン・ユン監督作なので期待して見に行った。
ほぼ料理映画。こってりフランス料理が9割の作品だった。
自分は、最近どんどんベジタリアン化しているので、肉と牛乳をたっぷり使ったフランス料理にはもう惹かれなくなっている。胃もたれする感じ。
それと尖った作風が特徴的だったトラン・アン・ユン監督が、クラッシックなフランス映画調の作品を撮ったのも驚き。ベトナムのバックグラウンドを持つ監督をまったく感じさせない古風なフランスがあった。
それでも映像の美しさはさすが。
音楽がほぼなく、常に鳥の声が聞こえてるのもなかなか良かった。
料理をしない私にとっては
最初の調理の場面が続くのはやや辛かった。
ショコラで見たばかりの女優さんが出ててビックリ。歳をとったせいもあるが、それ以上に、全体の色彩の雰囲気に(「ショコラ」での服装は華やかだった)落差を感じた。
洋梨のシーンはインパクトが強すぎて、私にとってはこの作品には合わなかった。
主人公は、友人や「料理人」に恵まれ幸せな人だと思った。
ジェンダーとプロフェッショナリズム
本当に久しぶりのトラン・アン・ユンの作品である。冒頭「イェン・ケーに捧ぐ」とあるので、「青いパパイヤの香り」で成長した主人公を演じた彼女が亡くなったのかと思いきや、長年を公私にわたるパートナーであり続けた彼女への謝辞であり、監督から彼女への思いこそが、映画の主題となっているのだ。
そして、「青いパパイヤ」で額の汗を片腕で拭いながら、もう片方の腕で鍋をふるう彼女の料理をしているシーンが脳裏によみがえり、本作のジュリエット・ビノシュの料理する姿とオーバーラップする。ビノシュは額に汗を浮かべるどころが、意識を失う手前まで疲労困憊の様子だ。
そう、このようにしてトラン・アン・ユン監督は、調理作業に従事する女性の肉体的な負担を直接的に何度も描いている。その重労働の所産として目を奪われんばかりの豪奢な一皿が生まれ、男たちの食卓が形作られるのである。
同じく食への強い関心を隠さなかった映画作家として我々は伊丹十三の名を思い起こす。彼の代表作「お葬式」においても、精進落としのごちそうを準備するのは女たちであり、それを食すのは男たちなのだ。男たちの饗宴に女たちが入ることはなく、女たちが台所でその料理を口にすることは本作にも共通する。
観客が食べ物の美味しさ、舞台となる家屋の内部、農園、と美術のすばらしさに気を取られることは監督の本意だろうか。いや、これら美しい生活が女たちの労働によってこそ成り立っていたことを観客はもっと意識すべきである。生産する性と享受する性の固定化。このことを抜きにしては、この映画は単なる料理のデモンストレーションに終わってしまう。
さて、死の直前、女が男に対して「あなたにとって私は『妻』だったのかそれとも『料理人』だったのか」を問う場面がある。
もちろんこれこそが映画のテーマであり、監督が観客に問うている問題なのである。
命を削って作ってきた料理。これを相手がプロフェッショナルとしての仕事の成果と認めるか、愛情の対象へのまごごろの所産として感謝するのか。彼女が求めたのはジェンダーから逃れられない男と女の愛情の所産としてではなく、プロとしての評価だったのだ。
これこそが、彼女が結婚を拒み続けて理由であり、料理を続けてきた理由なのだ。
そうでなければ、丹精込めて作った料理を、台所で使用人と一緒に食べることなど耐え難い屈辱なのである。
五感に訴える作品でした
スクリーンから香りが溢れ出そうなキッチン。
次々に出来上がっていく料理の数々。
畑や庭やテラスで揺れる植物たち。
みずみずしい果物と裸体の対比。
どれをとっても、目が離せない。映像。
とりわけ、個人的にはキッチンや部屋の設えが、たまらない。
光の入り方。
階段、廊下、ドアノブすら計算されているかのようなセット。
絵になる映画。
ジュリエット・ビノシュが美しい。
フランスが好きになる。
もっと好きになる。
鑑賞動機:お腹すいた10割
お腹が空いたから観たのか、観たからお腹が空いたのか。睡眠不足だったつもりはないのだが、何度も睡魔に襲われては覚醒して「美味しそう…」の繰り返し。ムニャムニャもう食べられなーい。
ビノシュとマジメルがまた本当にいい感じの寄り添い具合で素晴らしい。大人だ。大人の恋愛だ。
結構移動する人物を長回しで撮ってる場面が多いのも好き。
着信音が何度も何度もいやがらせのようになるのには閉口したけど。
「世界の朝ごはん」が好きだった人にオススメ!
昔、TBSで放送していた「知っとこ!」内の“世界の朝ごはん”というコーナーが好きだった人に観てもらいたい映画!どんな人にオススメかな〜と考えたときに、“世界の朝ごはん”を思い出した。あのコーナーみたいに美味しそうなご飯がたくさん出てくるし、恋愛要素もある!
内容は大きく分けて3部構成かな〜と。
①料理編
台詞はほぼなしの料理シーン。ずーっと料理を作ってる。
料理が好きな人はもちろん、物が出来上がる工程を見るのが好きな人は飽きずに楽しく観れると思う!
②ウージェニーとドダン編
恋愛パート!
ウージェニー(→→→)→ ←←←←←〜(省略)~←←←ドダンという感じ!
ドダン(男)、ウージェニー(女)のこと大好きすぎんだろ……となる。こういう関係性好き。
③ドダンのこれから
ウージェニーとなら皇太子も満足させられるポトフを作れると思ったドダンが、ポトフ作りにチャレンジ!そして神の舌を持つポーリーヌ(少女)と共にこれから──。
物語全編通してですが、ほとんどBGMはなく実際の調理音や生活音、環境音。
パンフレットを読むとメインの俳優2人共が料理の動きを「ダンスのようだった」と表すほどですが、そこから発せられる音もまたゆっくりとしたリズムで視覚も聴覚も心地よかった。
料理を作るのも“愛”、食べるのも“愛”だなと感じた。
胸やけしそうになりました。ポトフで充分です!
食文化で有名なフランス映画、美食家に応える料理人が味覚を追求する姿、そしてまるで調理の手本を見せてるような構成が凄かった。
観ただけでも満腹感をうかがえる豪華なメニュー!
その裏腹に美食家と料理人の美談と悲しみが包み込むと言う映画でしたね。
食を楽しみ映像を通して感じる料理への情熱、良かったです。
24-005
美食家と料理人の信頼と愛の物語。
互いをパートナーと認めながら、
尊重し合って互いの言葉に耳を傾ける。
夫婦ならば
この関係にはならなかっただろう。
妻ではなく、
料理人として認めていたからこそ
尊敬と信頼で結ばれているのだろう。
美味しそうな料理のオンパレード。
最高に幸せな気分になれた作品でした。
映画の帰りにフレンチでディナーしよう
映画の冒頭、田舎の屋敷の厨房で次々と食材を鮮やかな手順で調理し、美しく盛り付けられた料理になっていく一連の30分に及ぶショットに感嘆しました。その一方で、食べる前からウンチクを語る村の名士の俗悪ぶりと、素直に料理の美味しさを理解する下働きの少女の純粋さの対比が印象的です。美食家と女性調理人が、ユーラシア皇太子の晩餐に大衆的な料理のポトフを出そうとするお話しだけど、むしろこの二人の料理を通じた心の結びつきがテーマのようでした。とにかく、迫力のある調理シーンや蝋燭だけのディナーなど、光と影のコントラストを強調したカメラが美しく魅力的です。ただ、美食家と調理人の主人公としてのバランスがイマイチ取れていないのと、ポトフがそのうちどっかに行ってしまうのもちょっと肩透かし感があります。役者では、ジュリエット・ビノシュの独断場だけど、この役には少し年齢が高いような気がします。むしろ、下働きの少女役のポニー・シャニョー・ラポワールがかわいらしく光っていました。ブノワ・マジメルは、往年の美青年ぶりを残しながらも恰幅がいい渋い感じが魅力的です。
とにかくフランス料理、もうそれだけ!
オープニングから、とにかくフランス料理作っては食べて。もうそれだけ!
BGMも無ければカメラもワンカットのつなぎ。
聞こえてくるのは料理を作る音と鳥のさえずりと呼吸音。
まあ、こんなに丁寧にフランス料理作ってくれるなら料理には1万円以上の価値はあるな。
でも、ストーリーは「考えるな感じろ」。
もうちょっとエンターテイメントしてくれても良いんじゃないの?
全てが美しい作品
ハァ~。
全てにおいて、ため息が出るほど美しかった。
交わす視線が互いを想う慈愛に満ちていて、
スクリーンからも温かい空気が流れてくるようで、ため息。
ジュリエット・ビノシュの洋梨のようなバックヌードも素晴らしくて、ため息。
愛に溢れた料理の数々に、ため息。
台所の装飾、衣装、光の加減、二人が交わす言葉、料理を作るときの所作、
そして、
大人の恋愛をここまで美しく描いた監督の素晴らしさに、感動のため息。
食が、いちばん欲望に近い、ある意味、官能的な作品だと思う。
「青いパパイヤの香り」のトラン・アン・ユン監督と後から知って納得。
映像が素晴らしく美しかったことが心に残っているもの。
この作品も、本当に美しい、という言葉がぴったり。
全84件中、21~40件目を表示