劇場公開日 2023年12月15日

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「【”ガストロノミー、そして美味礼賛。”今作は料理への情熱で強く結ばれた美食家の男性と女性の料理人の愛と人生を味わい、劇中供される美味そうな料理を目で愛でる作品なのである。】」ポトフ 美食家と料理人 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”ガストロノミー、そして美味礼賛。”今作は料理への情熱で強く結ばれた美食家の男性と女性の料理人の愛と人生を味わい、劇中供される美味そうな料理を目で愛でる作品なのである。】

2024年5月10日
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鑑賞方法:VOD

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■19世紀末の仏蘭西郊外に住む、美食家・ドダン(ブノワ・マジメル)と、彼がひらめいたメニューを完璧に再現する料理人・ウージェニー(ジュリエット・ビノシュ)。
 2人が生み出した極上の料理は人々を驚かせ、類まれなる才能への熱狂はヨーロッパ各国にまで広がっていた。
 ある時、ドダンはユーラシア皇太子から晩餐会に招待されるが、ボリュームはありながらワインを出す順番も含め、満足出来なかったと漏らす。
 そして、ユーラシア皇太子に対して、仏蘭西の庶民食であるポトフを提供しようとウージェニーに提案する。

◆感想

・序盤20分の、ドダンの友人達を招いた昼餐会のためにドダンとウージェニーが協力して料理を作るシーンが圧巻である。
 言葉は少ないが、2人の料理への愛、お互いを大切に思う気持ちが凝縮されているように思えるからである。

・更に二人は、近所で農家を営む夫婦の娘で、味覚の鋭いポーリーヌにも料理を教えつつ、料理を食べさせ感想を聞くのである。
 取分け私の興味を引いた料理はデザートで出された”ノルウエー風オムレツ”である。

・贅を尽くした料理を食べながら会話は、カレームの話に移って行く。外交官タレーランの料理人としてウィーン会議で度々晩餐会を開き、仏蘭西の存在感を高めたと言われる伝説の料理人である。
 ドダンの友人達が、単なるグルマンではなく知性と教養がある人である事が分かる。

■秋になり、ウージェニーは漸くドダンの求婚を受け入れるが、虚弱だった彼女はある日、早逝してしまう。
 食欲もなく、項垂れて暮らすドダン。
 友人達は、彼を励ますために様々な女性料理人をよこすが、ドダンの口には合わない。序でにポーリーヌも・・。

<だが、ある日友人が料理を持ってドダンの家に掛けこんで来る。
 その料理を口にしたドダンは、友人からその料理を作った料理人の名を聞き、家を駆けだして行くのである。勿論、ポーリーヌを連れて。
 今作は、料理への愛や思入れが凝縮された、トラン・アン・ユン監督が、“食”の深さと楽しさを堪能させてくれる作品なのである。>

NOBU
トミーさんのコメント
2024年5月10日

共感ありがとうございます。
ノルウェー風オムレツのメレンゲのかけ方、切り分け方雑だなぁ、日本料理とかだと一番気にする所ですよね。この辺りの食に対する思想の東西差も今作の興味深い所でした。

トミー