「イングリッシュマン・イン・トスカーナ」墓泥棒と失われた女神 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
イングリッシュマン・イン・トスカーナ
ダウジングと言えば、ビクトル・エリセの「エル・スール」でオメロ・アントヌッティが演じた主人公の少女の父親を思い出す。その寡黙で謎めいた佇まいといい、この映画の主人公にも通じるものがあるように思う。ジョシュ・オコナーというのは寡聞にして私の知らない役者だったが、どことなく憂いを帯びた風情に惹かれる。
エトルリア文明の発掘の話は確か浦沢直樹の「MASTERキートン」のエピソードにも出てきた覚えがある。外気が流れ込んだ途端壁画が色褪せていく場面は「フェリーニのローマ」でもとりわけ印象的だった。海に投げ込まれた女神像の頭部は、それなりの装備で潜れば回収できるのでは?文化遺産としてぜひ元どおりに修復しないともったいないです(サモトラケのニケは首がないままなので)。
最近ちょくちょく見かける無理やり説明的な(かつての「土曜ワイド劇場」のような)邦題は何とかならないものか。この映画の原題も単に“キマイラ”だし、「鑑定士と顔のない依頼人」は“最高の出品”だし、「ゴヤの名画と優しい泥棒」は“公爵”だ。
イザベラ・ロッセリーニも70代か。記憶の中では「ブルーベルベット」あたりの印象で止まっていたので、ちょっとびっくりした。
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