「トルコが舞台でも主軸は普遍的な人生そのもの」二つの季節しかない村 Boncompagno da Tacaocaさんの映画レビュー(感想・評価)
トルコが舞台でも主軸は普遍的な人生そのもの
主人公サメットは教師だからか思い込みも激しいが、この中年男の小さな心は誰しも自分や周辺に似た者を想像できる普遍的なものである。サメットとヌライの酔いながらの議論は、体制順応主義者と理想主義者のモデル的な対論でもあるが、もっと地べたの人生への諦観と希望の往復もある。クルドやテロの暗示にあるように選挙独裁の権威主義体制下にあるトルコでの対話であることを考えると、サメットの考えもただ平凡陳腐と切り捨てることもできない。トルコ映画には西欧映画にない社会のしがらみがしつこく描かれているものが多く、ちょっとアジア臭いところもある。
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