チネチッタで会いましょうのレビュー・感想・評価
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もし・・・
躁鬱で仕事のことしか頭になく妻をプロデューサーとしてしか見ていず、一人よがりの映画論を延々と続けて仲間や若手をうんざりさせる映画バカのおじさん監督、嫌だなあ。でもモレッティがやりたかったことが後半になって少しはわかったような気がした。
ニコニコ顔のたくさんの出演者、アルバ・ロルバケルもゲスト参加の楽しい行進に思わず笑ってしまった。「もし」はないかも知れない。でもそんな「もし」を可能にすることができる潜在能力が私達にはあったのかもしれない。そう考えるだけで少しは元気になるかもしれない、絶望しないで済むかもしれない、おんなじようにみんなも思っているのかも知れない、そんな力をもらった気分!
1950年代が舞台の映画「トランボ」(2015)、「イル・ポスティーノ」(1994)と見て、この映画も映画の中の映画は1950年代設定。アメリカでもイタリアでも共産党が活躍していて共産党員がメディア、映画、文学関連にもたくさんいた時代。ソ連のハンガリー動乱(1956)、その後はソ連のチェコスロバキア軍事侵攻(1968)。ロシアに名前が変わって2022年2月以降今も続くウクライナ侵攻。そんな時代、「もし」を思い返して夢見るひとときが私達には必要なのかもしれない。勿論ソ連・ロシア万歳ではない。真逆!ソ連・ロシアと当時の例えばイタリア共産党を同一視しない。
この作品はモレッティの8 1/2だと思った。フェリーニの8 1/2がどちらかといえば個人的だとしたら、モレッティの作品は社会的。ロシアとウクライナの戦争が長年続く難しい時代、ありえないかもしれないけれど、あり得た未来に夢があるかも知れない、共感して連帯できる信頼関係を作りあげられるかもしれない。未来への夢と明るい太陽を見せて貰えた気がする☀️
ナンニ・モレッティの自虐と悲哀
1950年代のイタリア共産党を題材にした新作を撮影しようとしていた映画監督ジョバンニ。ところが若手スタッフからは共産主義者=ロシアかと問われたり、時代錯誤なセットが置かれていたりとズレが生じ…
ナンニ・モレッティ作品をしっかり観たのはこれが初。資料には彼の過去作のパロディなども盛り込まれ、ラストシーンでは過去の出演者が大挙カメオ出演しているらしいが、それら全て分からずじまい。要はモレッティに触れてない人にはとっつきにくい内容となっている。
かといって一見さん完全お断りかといえばそうでもなく、若い監督の演出に口出し、何かと「映画製作ってのはな…」と講釈垂れたりとシネフィル面するジョバンニが滑稽で悲哀。この人物描写はモレッティ本人の自虐ネタだろう(というかモレッティの本名が「ジョバンニ」)。Netflixの戦略と、資金提供してくれる韓国資本側の映画製作に関するスタンスがいかにもで可笑しかった。
モレッティ作品を観ていたらもうちょっと評価が上がっていたと思う。
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