落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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我々「羅生門」の千秋実
間もなく始まる、世間注目、あの裁判の予告編の様な。あの法廷でも、主観的だの客観的だのが飛び回るんでは。それと、あの、原作と脚本の問題もありましたね。めっちゃタイムリーな作品でした。夫婦喧嘩のシーン、圧巻でした。鳥肌立ちました。しかし、ラストの、「ママが帰ってくるのは怖い」
このセリフ気になります。
けっこう面白い
旦那さんがかわいそうで見ていられない。小説家になりたくて相当な苦しみようで、しかし彼には何が何でも完成させると言う気概がない。それで奥さんに当たり散らしてもどうしようもないし、奥さんも困る。家事の分担で文句を言うがそれはあきらめるしかなく、それができなかったら別れるべきだ。内装工事をしている余裕があるなら小説を書けばいい。奥さんの稼ぎで食わせてもらって書くべきだ。それができないから死んでしまったのだろう。『シャイニング』のジャック・ニコルソンは書けなくて殺人鬼になったと解釈しているのだけど、彼は自殺した。
子どもの失明は本当に考えられないほどつらい。結局のところ、意味もなく殺人の容疑を掛けられた奥さんもつらい。判決が出た後、不穏な場面がだらだらと続いてやっぱり奥さんが犯人だった、みたいなオチがあるのかとハラハラした。
マジックショーのようだった。
ただただ芝居の技術の高さを楽しむ作品。
スタニスラフスキーはもちろん、
ステラ・アドラー方式の、
お互いの関係性の中で、
芝居をビルドアップしていく中でちょっとした仕草、表情を複数重ねて試行錯誤して取捨選択していくような、
訓練を受けた人たちの、
マジックショーのようだった。
状況を客観的に話す芝居、
客観的から主観が入ってくる芝居、
感情的な芝居、
それぞれ相手の芝居によってシフトチェンジ、減速加速、出力高低、すべてコントロールしている。
小説家同士、その内容と現実、
録音部分の構成等、
シナリオでもうまい部分もあるが、それらのセリフのキャッチボールが素晴らしい。
欧米複数国で、
オーディションを行なった事があるが、毎回、技術の引き出しの多さに驚く。
ロゴス(論理)、エトス(倫理)、パトス(情熱)、同じシナリオでも、
それぞれの違う伝え方、
論理だけでは人は動かない、
倫理が無ければ観客は納得しない、
情熱との按分の割合、センス、
そんな技術に関して、芝居の技術に関して、youtubeで話してます。
スヌープ・ドギー・ドッグまで、いい芝居していた。
圧倒的有利な状況
誰かが言ってたよ相手より幸せになっちゃいけないって
20時過ぎの上映が近場になかったので錦糸町まで遠征したのだが、後ろの外国人カップルが終始喋ってるわ椅子蹴るわで上映前注意理解できてないんだなってなりましたね。うしろ見てシー🤫ってしてもずっと喋ってやがるし…マジでこいつら国に帰ればいいのにと思いましたとさ。
さて本題。売れっ子小説家と小説家志望の旦那、彼が目を話した隙に事故に遭い弱視になってしまった息子、そして愛犬(重要)。山荘の窓から落ちて無くなった旦那に対して夫婦間に問題を抱えていた売れっ子作家に嫌疑がかかり、マスコミが騒ぎ、イケメンの弁護士がサポートするわけなんですが、お互いがお互いに不満が溜まって旦那が亡くなる前夜の夫婦喧嘩の録音が法廷で再現されるくらいからめちゃくちゃ面白くなるからそれまでなんとか我慢して欲しいです。
表題に書いたことが全てで、夫婦間って相手より幸せになっちゃダメなんですよね。これって結婚ってシステムが抱えてる最大のジレンマで結婚しない人が増えてる原因のひとつだと思ってて…お互いが好きなことやってどっちも幸せなら良いんだけど、どちらかが我慢してると最悪の場合は人の生き死にに関わる事件が起こるよ、という警告がこの映画なのかなと。
ご結婚してる方、長い間付き合ってる方、思い出して!写真って恋愛が盛り上がってる時しか撮らないですよね?トップカットにその頃の写真を使ってるのがこの映画の謎解きのポイントです。時々インサートされながら弱視の息子さんが証言前に見ているのもその写真です。
実質画面に映ってる時間は短いけど、父の名誉を守り、母を法廷から救い出し、自分と愛犬の人生の安定を掴み取った息子くんの心の葛藤を描きたかったのかなと思ってしまいました。母親の息子への愛がわりと上っ面に見えたのはカメラワークと脚本に対する深読みかもしれないですけど。自分もわりと毒親に育てられたので…。
なんかこれって結局芥川龍之介の藪の中的展開なんですけど、会話劇だけでここまで面白くできる「映画」って本当にすごいなって思わされた1本でしたね。なくならないで欲しい人類の文化です。
事故か他殺か・・・
人里離れた雪山の山荘で、視覚に障がいのある11歳の息子が、血を流して倒れていた父親を発見し、息子の叫び声を聞いた母親が救助を要請したが、父親はすでに亡くなっていた。当初は事故による転落死と思われたが、前日に夫婦ゲンカをしていたことなど不審な点があり、妻で作家のサンドラに夫殺しの疑いがかけられた。自らの無罪を主張するサンドラだったが、事件の真相が明らかになっていくなかで、息子の証言が・・・さて真相は、事故死か自殺か他殺か、てな話。
なかなか奥深くて見応えあった。法廷でフランス語で質問され英語で答えるのは面白かった。
夫婦や家族の内情が法廷で明らかになるのはやれんなぁ、とも感じだが。
同じような仕事をして、妻の方が才能が有るとわかった夫は嫉妬するのだろう、とも思った。
裁判で勝っても得るものはない、という発言が有ったが、確かに、負けると失うものが多いが、勝っても得るもののない裁判ってあるよな、なんて妙に納得した。
邦題はフランス語の直訳なんだろうけど、こんな高尚なよくわからない邦題じゃあ、とっつきにくい気がする。
助演犬優賞はスヌープ!
「コット、はじまりの夏」を観ようとしたらシネマカリテはビルの設備点検で本日休館!予定を変更して新宿ピカデリーで「落下の解剖学」を。
雪山の山荘で転落死した父親は、事故か、自殺か、殺人か?
犬と散歩から帰って死体の第一発見者は、視覚障害者の息子(いや犬か?)、山荘にいたのは母親のみ。目撃者はなく、当然、殺人が疑われ、母親は起訴され裁判に…。
裁判で真実が明らかになるのかと思えば、明らかになるのは意外な事実ばかり。息子が視覚障害になった原因が父親にあったり、母親はバイセクシャルで女性と不倫した事があったり、二人とも作家だが夫の諦めた原案をまとめて妻が出版していたり、二人は死の前日にもそれらの事で激しく口論していて夫がそれを録音していたり。
彼らの口論の中で、フランス人の夫とドイツ人の妻は中間言語の英語で会話し(以前はイギリスに住んでいた)、フランスの雪山に来て彼女はフランス語も話さなければならず(裁判中も途中からフランス語に不慣れで英語で話す)言語も二人に溝を作っていた。
二人とも作家で、夫は書けず、妻は書いて何冊も出版している。夫婦が同じ職業と言うのも難儀である。
しかも本作の監督ジュスティーヌ・トリエは、この夫婦が溝を作って崩壊する脚本をパートナーで監督のアルチュール・アラリと共同で執筆しているというのがなんともいえない。
結局、この映画が描いているのは事件の真実ではなく、夫婦のあり方と、母親と成長する息子(事件の後はショックで母親に抱きしめられていた息子がラストでは母親を抱きしめている)の姿と、二人に優しい犬の姿である。
映画は、落ちて来るボールを受け止めるスヌープで始まり、いつも世話をしている息子ではなく帰って来た母親に静かに寄り添い眠るスヌープで終わるのだ。
余白
裁判の結果、得られるもの
もう少しミステリやサスペンスの要素がある作品かと思ってましたが、法廷を舞台にした人間劇でした。
「疑わしきは被告人の利益に」に忠実な判決で、外形的に見れば無罪放免のハッピーエンドとなる作品でしょうが、裁判後のダニエルの反応やサンドラの振る舞いや戸惑いから、2人のこれからが決して簡単にいかないことがわかります。
サンドラの無罪の決め手になる証言を導き出したのが、父親の息子への愛が故の言葉であるのも、この家族の関係性を表してもいます。
裁判の過程で明らかになった家族内のさまざまな事実や言葉をどう乗り越えていくのかは、この映画を見た人たち一人ひとりの心の中に描かれていくのでしょう。
脚本合戦
作家夫婦の旦那が山の上の自宅で転落死し、妻による殺害か、自殺かを問う裁判になる話。
雪山の自宅で作家として働く妻と、作家兼教師として働く夫という夫婦の夫が転落死し、当時視覚障害のある息子は犬と散歩中、自宅には妻と夫だけという状況から裁判になっていく。
ダニエルの証言に繋がる部分はまあわかるけれど、客観的なことや状況証拠に繋がるものを議論する訳じゃなく、主観的に殺人の動機と自殺の動機とどっちがより有意かを問うディベート大会を長々とみせられている様に感じてしまいダルかったし、これって判決に影響あったんですか?動機がより有意な方がギルティですか?という感じ。
そして結果は……だけれど、そもそも判決に影響する議論は最初だけで、判断できずに放置だし。
ということは見るべきはそこではないということで、だとしたらそれらをもっと簡潔にして100分ぐらいで収めて欲しいもんだ。
自殺か他殺か、それはどっちでもいい
話題作という事で
ストレス感じたらあなたの負け
落下したのは
カクカクした硬いタイトルだなーと思いながら映画館へGO。
舞台は、雪の山荘(居宅)での事件。
焦点は夫の死の真相。
裁判が進むうち、夫婦の様々な面が浮き彫りになってくる。
日々、色々な事が積み重なって、二人はうまくいかなくなっていく。
それ故、息子が目が見えないのにも経緯があるだけに、11歳の彼が証言しなくてはならない状況が悲しい。
妻サンドラの方が、意外な面が多かったなと思った。
物理的なものだけでなく 、夫婦関係も落ちて行ったのかもしれない。
キャストは皆さん初見。
サンドラはクールに見えたが、夫との諍いの場面ではそれが翻り、素晴らしい演技。
犬のスヌープも頑張っていた。
息子役の子も上手でかわいかった。いつも目の見えない役を演じる俳優さんて上手でかつ大変なんだろうなと思う。
起伏やどんでん返し的なものはなく、ミステリーを期待してしまって やや好みではなかったため星3つ。
2時間半がちょっと長く感じたかな。。
忠犬
タイトルなし
予告だと完全犯罪サスペンスかと思い込んでた。日本の非人格的な法廷と異なり、いろいろ民度が違う。それでも検事のクソ解釈は最低だった。
夫婦の喧嘩のシーンは圧巻だし、夫が壊れていく様子が徐々に明らかになる。
この映画の主人公は子どもだ。一人になりたいとしたのは、自分で考えようとしたから。素晴らしい。確かに彼を保護しようとしても、ネットの言説は溢れている。すべてを聞き、知らなかった親の真実を知り、父と母の間で引き裂かれながら、彼は自立していく。
裁判の夜、母に会うのが怖かったのはそのせいだ。明らかに二人の関係性は変わる。
私自身も彼が本を出せなかった同様のシチュエーションを経験したので、見るのが苦しかった。
彼女のほうが自由奔放に見えるかもしれないけれど、こんな山奥に、しかも彼の故郷についてきた彼女の適応力と優しさのほうに、私は想像が及ぶ。彼女の言葉は攻撃的に見えても、彼の真実を言い当ててるだけ、迫力がある。これだけ苦しんでたんだから、もう少し優しくできなかったかとも思わないことはないけど、こんなふうにしか断ち切れなかったのだろう。時間をシェアするという方法ではなくて、彼のやり方を拒否するという形でしか、突きつけられないのも、もともと彼のほうが先生だかで優位にあったからでもあるかも。向き合わないという彼の言葉への反応が一瞬、彼女のわがままに見えても、それ自体が男の暴力なのだということが少しずつわかる。そして、子どもが遡及的に父の言葉を理解するくだりは素晴らしい。目が見えてなくても真実が見えている。
スクリーンの中で小説を読んでいるみたい
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