「落下の解剖学」落下の解剖学 tyshiさんの映画レビュー(感想・評価)
落下の解剖学
生々しい。と言った表現が1番しっくりくるけど、そんな一言で終わらせられるほどのものではない。映画の中にいろんな感情が思惑が、ものすごい密度で埋められていた。
主人公が無罪を勝ち取るまでの話かと思いきや、裁判によって隠していた事実や他人には言えない彼女の全ての感情、感覚、生き方まで全て解剖されていく。この解剖で彼女の1人息子は何を選択し、何を守り、両親の真実をどう受け止め、どう決断していけばいいのか学んでいく。
「落下の解剖学」とはいいタイトルをつけたものだ。
あらすじ
夫の不注意で事故に遭い、視覚障害を患った息子を持つ主人公のサンドラは、ある日雪山の上にある自宅のそばで血を流して死んでいる夫の姿を発見する。
やがてサンドラの殺人が疑われ、彼女は無罪を主張していたが、数々の証拠と合致しない彼女たちの証言は意味をなさなくなっていく。
そして、事故の前日の喧嘩の内容の録音や、夫が薬を飲んできたことを法定内で知った息子は、父が自殺したのか、母が夫を殺したのか、疑心暗鬼になっていく。
また、撮影、編集にもこだわりを感じた。突然現れるfixの主観カットや、徐々にカメラが寄っていくじっとりとしたドリーイン、かと思いきやズームで勢いよく寄っていくスピード感は、キューブリックを思わせる。雪山というものと、息子の髪型のせいか、途中からシャイニングを見ているのかと思ってしまった。
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