「真相はご想像にお任せします」落下の解剖学 mvlvさんの映画レビュー(感想・評価)
真相はご想像にお任せします
観劇後モヤっとした気持ちで帰りたく無い人にはオススメ出来ないし、家庭内の隠されたゴタゴタを浮き彫りにされていくのがキモという作品であるならばテーマとしてはありきたりな気がする。ただ、考察し甲斐があるシーンが多く、あれって何だったの?と話し合って楽しむ事ができる余韻の長い作品と言える。考察したところで結論は出ないけど、そこがこの作品のよさだと思う。
そして、夫婦で観に行くにはキツい作品
間違っても何かの記念日に行かないように!
以下はネタバレ程ではないですが、内容に触れますので注意
話しの締めくくりに裁判の結果は出るのだが、それで真相が分かったのかというとそうでは無く、状況証拠しか出してこない無能な検察のせいで、最終的にはある人物の証言が有罪無罪を大きく左右するし、その証言でさえ事実か証明する方法は無いことから今作のテーマは犯人探しでは無いんだろうなとは思った。
真犯人は二の次ということなら、この作品がテーマとする所が何だったのかといえば、いまいち掴めなかったのが正直なところ。明らかに息子ダニエルは母親に心を開いていないし、最後の家でのセリフはかなり意味深だったこと、最後の最後にワンちゃんがとった行動に何かあることは分かったが、結局なにが言いたかった作品なんだろうという疑問が感想の大部分を覆っているのが観た直後の今の気持ちである。
前述したように、裁判の過程で表面上は見えていなかった夫婦の不仲が暴かれるというところが面白いと言うだけのことであれば、それはそれでふーんで終わりにも出来るが、パルムドール受賞作との事なので、他にもっと深い意味があるのに見落としている様な気がしてならない。
とにかく裁判が長いのでなかなか集中力を持続させるのが難しい作品だったが、一部痛々しかったですがワンちゃんの演技が凄く良くてかわいかったので長時間の観劇に耐えられたところがある。また、マスコミや傍聴席への嫌悪、ひいてはメタ的にストーリーを消費する我々観客への批判的姿勢を感じるシーンが度々差し込まれていたところも監督の主張が出ているのかなと感じた。
解説動画などみてまた星の数は変わるかも知れませんが、とびきり良かったわけでも酷評するほど悪い内容でもなかったので、直後の評価は⭐︎3です。