劇場公開日 2024年2月23日

「家族の絆と裂け目「落下の解剖学」に見る社会の断面と深淵」落下の解剖学 三度の飯より映画好きシェフ聡27さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0家族の絆と裂け目「落下の解剖学」に見る社会の断面と深淵

2024年3月2日
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『落下の解剖学』はただのヒューマンサスペンスに留まらない、深遠なメッセージを秘めた作品です。人体の構造を探求する解剖学のように、この映画は、雪山の山荘で起きた謎の転落死を通じて、家族の秘密や社会の問題を解き明かします。監督ジュスティーヌ・トリエの手によって、第76回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞し、さらに第96回アカデミー賞で5部門にノミネートされるなど、世界中から高い評価を受けている事の意味を深く感じました。すごい

この映画は、視覚障がいを持つ少年とその家族を中心に展開し、夫婦間の複雑な関係、社会問題、そして人生の不条理について深く掘り下げます。高額な医療費、外国で暮らすことの難しさ、性的マイノリティ、ネット社会による情報の拡散や誹謗中傷など、現代社会が直面する様々な問題を、一つの家族の物語を通して浮かび上がらせます。

サンドラ・ヒュラーが演じる主人公サンドラの迫真の演技は必見。彼女の演技を通して、観客は家族の愛、秘密、そして嘘が複雑に絡み合いながらも、それぞれの真実が明らかになっていくのかを目の当たりに。深い作品でした。
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三度の飯より映画好きシェフ聡27