劇場公開日 2023年12月15日

「アキ日和」枯れ葉 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アキ日和

2024年1月18日
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鑑賞方法:映画館

台詞もアクションも尺も少ない、相変わらずミニマルな文体のアキ・カウリスマキの映画だ。
(“アキ・カウリスマキ”は以下“アキさん”と略。“ミカ・カウリスマキ”を“ミカさん”にすると、叶姉妹みたいだ。)

ラジオからロシアのウクライナ侵攻が伝えられるから現代の話なのだろうが、「竹田の子守唄」や「マンボ・イタリアーノ」が流れたりする不思議な世界。ロシアと1,300kmにわたり国境を接し、何度か占領された歴史も持つフィンランドにとっては、現在の切迫感は日本とは桁違いなのだろう。
映画館にはロベール・ブレッソンの「ラルジャン」やジャン=ピエール・メルヴィルの「仁義」のポスターが貼られていて、こちらも名画座だからなのかもしれないが、単なるアキさんの好みという気がしないでもない(寡黙な作風が共通する)。
主役の女性は、かつてならカティ・オウティネンが演じていた役どころだろう。マッティ・ペロンパー似の人物もいたので、もしやと思ったが、彼は既に1995年に亡くなっていた。合掌。
主役の二人が初めて会った時のまなざしのラリーが奥ゆかしい。アルコール中毒の心情にはあまり寄り添えなかった。フィンランドは世界幸福度ランキングで1位になっているけど、アキさんの作品ではあまり幸せそうな人は登場しない。
私が見た回はほぼ満員だった。上映回が少ないせいもあるだろうけど、アキさんの映画で映画館が満員になるなんて!とびっくりした。

p.s.アキさんの映画では「真夜中の虹」が一番好き。

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梨剥く侍