「枯葉舞い散る北欧人情劇場」枯れ葉 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
枯葉舞い散る北欧人情劇場
知ってるけど観たことない映画や監督さんの作品シリーズの本年トリは、フィンランドの巨匠アキ・カウリスマキです。人生に疲れた何の変哲もない中年男女のラブストーリーで、よくこの内容で映画を作ったと感心しました。ドラマティックな盛り上がりもなく、主人たちの過去や感情すらも排し、徹底的に余分なものを削ぎ落としたシンプル過ぎるセリフなのに、シーンのあちこちから監督の主人公たちへの暖かい眼差しが感じられ、画面から眼を離せませんでした。また、あちこちに監督の映画趣味が見られるのも楽しかったです。衣装や小道具がブルーや赤などの原色使いが初期のゴダールっぽいと思ったら、映画館のポスターが『気狂いピエロ』だったり、かかっている映画がジャームッシュの『デッドマン・ドント・ダイ』だったり、これらの監督作品にどこか通じるものがあります。役者さん達は馴染みのない人ばかりだけど、そこがいいのかも。
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