劇場公開日 2023年12月15日

「カウリスマキに「アナログ」撮って欲しかった」枯れ葉 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0カウリスマキに「アナログ」撮って欲しかった

2023年12月30日
iPhoneアプリから投稿

2023の最後はこれだった。失敗がないと思ったし、いい気分で終わりたかったから。そしていい気分で映画館を出て来れた。
フィンランドの他愛もない男と女の話でしかない。ラジオからウクライナのニュースが流れ、世知辛い世の中の視線の中で仕事先を解雇されるふたりが出会ってくっつくまで。カット選択、感情、ミニマル表現の中でふっとエモーションが動くのが素敵だ。今時名前も知らないふたりが出会っていい感じになって、電話番号の紙を渡してそれがポケットから落ちて風で飛んであえなくなって、別れた映画館でいつか会えるとずっと待ってて足元にたくさんの吸い殻を映して、それを女が観る、なんて映画が観れるなんて。歳とったいかれた男女は素晴らしい。男がまさかの禁酒を実践し、電話をかけた時のアルマ・ボウスティの犬に出ろという視線と、その後電話出た瞬間にすぐに来て、というスピード感が素晴らしい。

なんだかんだで年末はベンダースにカウリスマキという、やっぱりあなたたちの映画は映画的喜びに満ちてます、という感じ。

そういえば、映画化された北野武の「アナログ」はこんなテイストの映画で観たかったな、と思った。

ONI