劇場公開日 2024年5月24日

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関心領域のレビュー・感想・評価

全557件中、61~80件目を表示

2.0言わんとすることは分かる。

2025年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

壁一枚を隔てた日常と地獄。
かつての非道を描き、現代を生きる我々に問いたいのだろう。
言いたい事はよく分かる。
だが、なんだろうこの胸糞悪さは。

確かに過去の現実としてのナチスの非道はあったし、人類として忘れてはいけないのはよくわかる。
とはいえ、いつまでもナチスナチスうるせーよ!
私はナチス関係者の末裔ではないし、信奉するものでもない。
彼らの行動の結果は悲惨であり糾弾され、人類は2度と行うべきではない所業だ。

そこで、ふと西の方に目を向ける。
今、虐殺はしないまでも民族浄化、民族弾圧が行われている現実があるのでは?
そちらに目を向けず斜に構えて、人類のかつての非道を皮肉るような、そんな姿勢が気に入らない。

躍進し続けるA24スタジオ。
独特の映像美と演出、そして心にざっくりくる作品の数々。
Civil Warまでは良かったが、なんだろう。

ここの作品群に通底する達観したかのような視点での皮肉がだんだん胸糞悪く感じる。

観ればみるほど嫌いになるスタジオだ。

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きなこうどん

4.5「退屈だ」と感じることが自らの無関心さを突き付ける、なんとも残酷な映画よ

2025年3月7日
PCから投稿

怖い

知的

お世辞にも面白いとは言えない映画だが、むしろその「面白くない」「退屈だ」と感じるところにこそ、この映画のスゴさがあるように思う。

というのも、本作には映像の手がかりとなる説明というものが一切なく、カメラもほとんどが固定のロングショットであるため、一定の視点や感情をもって観ることが最初から排除されている。それはおそらく徹底したリアリティーでもって再現したアウシュビッツ横のヘス一家の暮らしを音と映像だけで「観客に体感させる」ことに主眼が置かれているからだろう(実際にいつどのような音がどの音量で聞こえたか、収容所からの音だけで600ページの台本があるらしい)。そら、面白い話になろうはずがない。

が、しかし私たちはホームドラマのように描かれた彼らの恵まれた暮らしの中に、いくつものおぞましい事実を見つける。収容所のユダヤ人から収奪した毛皮を鏡の前で着飾る妻、金歯で遊ぶ子どもたち、そして塀の向こうからは終始、女・子どもの悲鳴や焼却炉の稼働音が聞こえ続ける。「えー、マジか~」「無関心すぎやろ~」と令和に生きる日本人の私は声を上げたくなるが、本当にそうですか?ヘス一家とあなたは何が違うんですか?と、この映画は問うている。

少なくとも本作で描かれる所長のヘスは、仕事熱心で謹厳実直、部下にも慕われ、家庭にあっては子煩悩な良きパパであり、妻とは将来の夢を語り合って結ばれたごく普通の夫婦である(すべて事実らしい)。職業がアウシュビッツの所長であること以外、何らの価値観の相違も見い出せないのだ。産業革命以降の現代社会では職業が人間の唯一の存在形式であり、つまりは巨大な経済的メカニズムの中の歯車としてしか人間が存在しえないことを鑑みれば、自分がもしヘスだったら、ヘス家の住人だったら、違う行動がとれたのか。その答えは、相当に怪しい。

いや、わざわざヘス一家に自分を重ね合わせる必要もないのかもしれない。なぜなら今だって、自分が享受する平和の壁の向こうにはガザやウクライナがあり、もっと言えば7億人もの人間が飢餓線上にあるのだから。そのことを私たちは十分すぎるほど、よく知っている。知っていながら、その事実や悲鳴や誰かの断末魔をヘス一家と同様、都合よくノイズキャンセルしながら生きているのではあるまいか。少なくとも壁の向こうの圧倒的な理不尽により命を落としていく人間から見れば、ヘスも私も大差ない、職務に忠実で無責任な、ただの職業人間に過ぎない。

劇中では、唯一、赤外線カメラで描かれる少女が登場する。これも説明がなく、見るからに怪しく不自然な動きをするので、一瞬、泥棒か何かか?と見まがうが、飢餓で苦しむユダヤ人のために夜間ひそかにリンゴやジャガイモを彼らが見つけやすいように隠している姿らしい。人知れず、リスクを冒しながらも、自らの良心にもとづいて行動する最も人間らしいその少女が、あるいは本来の人間らしさというものが、この社会では赤外線をかざした熱画像でしか見えない(しかも不自然な行為として映る)というのは、なんとも皮肉で、痛烈なメッセージである。

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コタツみかん

3.5企画・プロットが全ての映画

2025年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 アマプラで鑑賞。公開当時、映画館で観なかったのには明確な理由がある。それは、話題作として作品の概要を繰り返し聞く内に、すっかり観た気になったから。もっと正確に言えば、「アウシュヴィッツの強制収容所で行われている事を知ってても、その隣で何食わぬ顔で日常生活を行うドイツ人が居た」というコンセプトを知った時点で、本作のメッセージの90%を受け取れた気がしたから。
 実際、アマプラで鑑賞しても予想通りだった。本作の正しい見方は、舞台がアウシュヴィッツと知らずに観始めて、「ユダヤ女から宝石を取った」という台詞でもしかしてと思い、中盤でアウシュヴィッツと明言された処で、やはりねと確信するべきなんだと思う。TV等でアウシュヴィッツが舞台と宣伝しまくった時点で、本作を観ても残り10%を確認するぐらいの価値しかないと、本作への「関心」が奪われてしまった。
 それでも本作の実験精神は素晴らしい。ただ、説明をナレーションベースにした30分弱のドキュメンタリーでも、同等のメッセージは十分伝わる気もする。

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LittleTitan

4.5どんな時代と背景があっても、必ず残る良心

2025年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

世界史に残る大事件
それを題材にした作品
それ故、知識を必要とすると同時に当時の価値観との対比を考慮せざるを得ず、評価そのものは非常に難しい。
ドイツ国民が今でも抱えている集団意識
それは、自分たちの血に流れる「あのこと」への慚愧の念
そしてまたこのような作品によって、「そのこと」を掘り返さえるのだ。
それに加えてこの作品は、単に当時の日常が描かれている点が悩ましい気がする。
さらにそこに足された「象徴」
その意味するのは解らないではないが、現実と非現実的という壁が理解を難しくさせている。
2度差し込まれた暗視スコープ的映像
少女が土手にリンゴを産める行為
少女が舟にリンゴを入れ、スコップ置き場にもリンゴをばらまくシーン
その際少女はケースを拾うが、おそらくその中にあったのが「太陽の光」という代名の歌詞だろう。
これはユダヤ人の希望 届かなくても持つべき希望を象徴している。
当然少女がばらまいたリンゴは希望の象徴で、彼らに届いてほしい願い。
逆に、そんなことは物理的にはできない。
そして、
少女はヘスの家の使用人のマルタ
彼女は危険を冒してまでユダヤ人に一縷の望みを届けている。
そこに差し込まれるのがヘスが娘を寝かしつけるために語るお話。
この対比
タイトルには、生きる上での関心ごとがドイツ人とユダヤ人とでは全く領域が異なることを示しているようだ。
ヘスの妻はそこが楽園だと考える。
夫の転勤でその場所を離れることを断固拒否するほどだ。
息子たちは男だからか、自分たちの住む場所に違和感を持ってはいない。
しかし娘たちは日々不眠症となっているのがわかる。
それは、
ずっと聞こえ続ける銃声と怒号 悲鳴のような声によって影響されているのだろう。
妻へディの母がやってきたがある日突然去っていった。
彼女の置手紙は明らかにされていないが、見た目には楽園に見えても絶え間なく聞こえてくる地獄の叫び声に精神状態がおかしくなると思ったからだろう。
娘へディの関心ごとが裕福な生活であるのと同時に、絶えず聞こえてくる怒号に無関心でいられることが、母にはどうしてもできなかったのだろう。
ヘスは最後に最新式のガス室の構想を思いつく。
深夜 妻へ電話する
階段を下りる時に吐いたのは、彼にも愛する家族がいることで自分たちが何をしているのかを頭の隅で出来ている理解と両親の呵責、または罪悪感の様なものがわずかでもあったからだろう。
それが、
現代 アウシュビッツ強制収容所が資料館となり、そこを掃除する日常の画に切り替わる。
当時誰もが思ってもいなかったことなのだろう。
掃除する彼らに笑顔はない。
ドイツ人全体の贖罪感が漂っている。
たった一人暗い階段を下りていくヘス。
それは紛れもなく地獄へと続いている階段だったのだろう。

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R41

5.0無関心の罪

2025年3月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

人の痛みに敏感な人 鈍感(無関心)な人…
アウシュヴィッツの壁を隔てた家で暮らすには 鈍感(無関心)な人の方が生きやすいのだろう。
"壁の向こう"に関心のある人は 行動するか病でしまうか… 無関心な人は ある意味たくましい。

私はどうであろうか。
空調の効いた住み処があり、好きな物をいつでも食べられ、趣味を持ち、海外旅行にも行くことができる。
ところが海を隔て、国境を越えた何処かには、
住む家もなく 飲物も食べ物もなく 生きることも困難な人たちがいる…無関心ではないか…。

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まーくん

3.5独特な澄んだ映像と音響 言葉にならない

2025年3月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

第96回アカデミー賞5部門ノミネートで国際長編映画賞・音響賞受賞ということで当初より興味深い作品ではあったが、あまりに重いテーマにて劇場に行く勇気が湧かず結局VODにて鑑賞。
オープニングからかなり独特。いきなり放送事故かと見紛うほど長い真っ暗画面。そして少しずつ音が聞こえてくるのだが、なんだか不安も募る。この時点でざわざわしながらも五感が研ぎ澄まされてきて、鑑賞準備が整ってくるような不思議な感覚。
そして全体を通して独特な澄んだ映像と音響が本作の不穏な空気に拍車をかける。本年度のアカデミー賞音響賞受賞は文句無しという感じ。
とても綺麗なのにとても怖い。とてもピュアなのにとてもダーティー。劇場で観たかったようなVODでうまく緩和できて助かったような。
良い作品だとは思うのだが、いずれにしてもこんな歴史はノーモアだ。言葉にならない。

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いけい

4.0平和に生きていると

2025年3月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

…と言う感じがしました
壁を隔てて地獄と天国のような
天国に住んでいる人たちには
地獄が見えない
隣から銃声の音やわめき声などは
時おりというか毎日聞こえてくるのに
まったく関心を示さない
特に妻のヘスは
夫よりもいまの暮らしが
大切であの家からはどんな事が
あっても離れないだろうなと思った
ほぼこちら側の日常を描いて
あちら側のアウシュビッツ
は銃声の音や人の叫び声
で煙突から白い煙が立ち上がる
以外は収容所中の映像はない
想像するのみ

はたして
その映像を見ている私たちは…

ロシア、ウクライナの戦争にしても
戦争が始まった三年前といまの状況は
戦争が続いているにも関わらず
メディアが取り扱われなくなって
"関心"が薄れてしまう
現状を知らない見ない事もあり
いつしか"対岸の火事"しつつある
関心から抜け落ちていく

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しろくろぱんだ

2.5映画としてはどうなのか

2025年3月3日
Androidアプリから投稿

ナチとかアウシュビッツとか扱った映画に面白いの面白くないの言うのはためらわれるんだけど、でも商業映画として作ってるんだもんね、では言いますが面白くないです。収容所を描かないチャレンジとか、司令官一家にうっすら関わってくる一般人の描写とかいろいろがんばってるなと思うし、これが別のテーマの映画だったらむしろ好感持てたと思うのだけど、何故だろうナチスとこのテクニックの食い合わせが悪いというかしっくり来なかったのだな。人間描写も丁寧だし、感想を書こうと思ったら取り立てて悪いところは何もないのだけど、結果見終わって「どう?」って聞かれたら「つまんなかった」としか言いようがないんだよなー、不思議。

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三毛猫泣太郎

2.5叫び声といつも通りの生活。

2025年3月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

アウシュビッツ収容所の隣で生活を営む家族の話。

収容所から聞こえてくる音が聞こえてきて、何が行われているかを想像してしまう。
でもそれもどんどん慣れていきて、最後には変わり映えのない生活(画面)に眠たくなってしまった。
つまりはこんな短時間で無関心になってしまうほどに、人の関心なんてそんなものだということ。

正直言って映画としては面白くないし、感じ取らないといけないことが多すぎた。
台詞の端々に匂わせるようなことを言ってるけど、世界史弱者なものでなんとなくしか分からなかった。
私は分かりやすい話に慣れすぎた現代人です。

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パンダマン

2.0無関心…

2025年3月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

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KEI

3.0無関心なのは一家だけなのか

2025年3月2日
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鑑賞方法:VOD
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あき

3.0構図の清潔さ。ごくありふれた日常生活。

2025年3月2日
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PP

3.5私たちは目撃した

2025年3月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

人間や社会の荒廃は無関心から始まる。世界で起こっていることを知るにはそう難しくない時代の中で、今私達たちはガザやウクライナを目撃しました。目撃者が無関心を貫けば、次は私たちがする側・される側になります。目撃者は当事者なのです。

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ミカ

2.0集中力が必要

2025年3月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

まず時代背景、歴史的知識が無ければ意味が分かりません。
さらに視覚効果、聴覚効果が判断に盛り込まれており、それの意味が分かると大変学びのある映画だと思います。
しかし、集中して観ても分からないシーンが何点かありました。画面が急に真っ暗になったり真っ赤になったり、爆音になったりしますので、子どもは見ない方が良いと思います。

かなりの映画通でないと楽しめない映画だと思いました。

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ゆーき

4.0想像力

2025年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

知的

アウシュビッツ強制収容所と壁で隔てられた、所長一家の話で、残虐なシーンは一切ない。
しかし、会議や日常会話の端々に大量殺戮を思わせる演出がにくい。
社宅みたいな屋敷で豪華に暮らす一家を観るにつけ、私達自身も日頃の"関心領域"を突きつけられる。
かきたてられる想像力がこんなに怖いものとは。

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いやよセブン

3.5関心領域

2025年3月1日
PCから投稿

ヘスの妻の関心領域は家の敷地内だけ。
日常的に聴こえる銃声も悲鳴にも無関心。
決してユダヤ人への悲惨な行為を知らないわけではなく、
その遺品の品々を見せ合いながら楽しそうに語る。

私も遠い外国で今も起きている戦争に無関心なのかもしれない。
距離の違いだけで、ヘスの妻と同じなのかもしれないと怖くなりました。

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ぞの

4.0想像力を発揮するということ

2025年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

知的

映画「シンドラーのリスト」「SHOAHショア」、体験記「レナの約束」、NHKのドキュメンタリー「映像の世紀」などにふれて、ホロコーストについてある程度の知識は持っていましたが、それらはみな受け身で与えられた知識でした。本作を鑑賞して、自分の想像力をしっかり発揮して考えることの大切さを実感しました。それは、今もなお世界中で起こっている各地の紛争や戦争に対しても、失ってはならない姿勢であるように思いました。

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saitall

3.0映らないが確かにそこにある何か

2025年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

ホロコーストに関する作品はいくつか見てきたが、中でもこの作品はかなり挑戦的な作りだった。音響による効果が大きいので映画館で見ることを推奨する。また、ナチスドイツによるホロコーストについて予備知識を持っているとより楽しめると思う。というか持ってないと退屈な映画。

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ハイマ―ディンガー

4.0音響賞は伊達じゃない

2025年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

アウシュビッツ強制収容所の所長ルドルフ・ヘス家族の日常を描く物語。

アカデミー賞国際長編映画賞・音響賞を受賞した佳作。

物語は、本当に日常生活を中心に淡々と描きます。豊かな自然、暖かい家族、ヘスの妻が拘る理想の生活・・・ただ、その生活の描きながら合間々々に銃声や悲鳴、怒声が漏れ聞こえてきて、その音との対比が人間の残酷さと不気味さを際立たせます。

映画としての面白みには欠けますが、映画としての完成度の高い作品だと思います。

私的評価は、4にしました。

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よし

4.0凄すぎる映画体験

2025年2月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

内容自体は誰が観ても平凡で退屈。つまりこの映画は、内容の退屈さから画面内に向ける関心が段々と薄れていく観客に対するメタ的な問い掛けに帰結する。
「お前たちもこの家族と変わらない」と。

ルドルフが廊下の暗闇の奥に未来を垣間見て、未来永劫語り継がれることになる人類史上最悪の虐殺に加担したという事実を自覚し、えずく。

恐ろしくて鳥肌が立つ。

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Alejandro Gillick
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