「日常生活に隣接して地獄があることを知りながら観る映像」関心領域 ねこたまさんの映画レビュー(感想・評価)
日常生活に隣接して地獄があることを知りながら観る映像
クリックして本文を読む
アウシュヴィッツ収容所に隣接する邸宅での収容所長の中流家族の生活を淡々と描いている。
ホロコーストの場面は一切出てこない。
一家にとっては平和な日常生活が繰り返されるのですが、常に、銃声、悲鳴、得体のしれない音(多分、ガス室を動かしている音とか、焼却炉を動かす音とか、分厚い鉄の扉の鈍い音とか)が、遠く近くから聴こえて来ている。
それでも家族は、全くその音を気にしていない(長女の夢遊病的な行動を除けば)。
例外的に、ドイツから転居してきた妻の母は、中盤に突然、帰国してしまうけれど。
日常生活に隣接して、地獄があることを知りながら観る映像は、恐ろしいと思いました。
時代の空気の再現性が優れている良い映画でした。
コメントする