「ホロコーストに、人間の無関心があったと感じる作品」関心領域 Toruさんの映画レビュー(感想・評価)
ホロコーストに、人間の無関心があったと感じる作品
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1945年、ポーランドのアウシュピッツ強制収容所の隣で暮らす、収容所の所長であるヘス司令官の家族の日常を描き、収容所の中やユダヤ人を一切出すことなく、ホロコーストの恐ろしさを炙り出すという作品。
強制収容所から聞こえる叫び声や銃声、そして機械音や焼却炉から立ち上がる煙。それらを何ら気にせず、戦時においても優雅に暮らす司令官の家族やメイドたち。淡々と暮らすも、それぞれがある種の部分で破綻している。
収容所のことを一切気にしない家族の生活を通じて、人間の異常性をキャストそれぞれが生活の端々に漂わせながら、無関心とは何か、実際の収容所で起きていること、それらを観る者が読み取っていくという、かなりマニアックな展開。
ホロコーストの実態映像は一切なく、起承転結も特にないストーリー。受け止める側の感性がないと、全く伝わって来ないであろう、商業映画とは対局にあるような作品。
音を重視した造りで、映像を自然光のロングショット、固定カメラで撮影する手法。ユダヤ人の存在をスクリーンからも関心の外に置くことで、ホロコーストの異常性をじんわりと伝えてくるという珍しい類の映画。
家族それぞれが持つ異常性や暗視カメラのように描かれるシーンなど、観賞後にレビューすることで見えてくるものもあるが、倫理観の麻痺という中々理解が難しい問題作。
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