劇場公開日 2024年5月24日

「映画「アシスタント」と比較すべき」関心領域 みっくさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画「アシスタント」と比較すべき

2024年5月28日
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鑑賞方法:映画館

「ホロコースト映画」は毎年何本も公開される。
(今のところ、本作とアンソニー・ホプキンス主演の「ONE LIFE」だ)
だが本作は単なるホロコースト映画ではなく「現代」を描いた作品でもある。

昨年「アシスタント」を見た。
Hワインスタイン事件をモチーフに、エンタメ業界におけるセクハラ、それに慣れていくことを描いた作品。

本作を見て、その「アシスタント」に似てる、と思った。

どちらもホロコースト、セクハラという「直接の描写」はない。
(映画は「省略の芸術」と言われるが、観客に「想像」させることができれば、描く必要はない)
どちらも「日常」になっていくことの「恐怖」を描いている。

本作の描写、つまり、壁1枚隔てた向こう側から、叫び声、銃声が聞こえる中で、子育てや、庭いじりといった「日常」が描かれる。

これは「特異な状況だから起きたこと」と言い切れるだろうか?

学校や職場で、イジメ、パワハラ、セクハラを見て見ぬふりをしたことは、誰しも一度くらいあるのでは?
(極端であるが)それは本作の所長夫婦とどう違うのか?
映画「アシスタント」と見比べることで、本作「関心領域」が特殊事例でなく、「現代」を描いた作品であることがより理解できると思う。

みっく