「「愛の反対は無関心」とはまさに正鵠」関心領域 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)
「愛の反対は無関心」とはまさに正鵠
米アカデミー賞にノミネートされた時から
大注目の作品でした。
よく手入れされた美しい庭を持つドイツ人の邸宅は
アウシュビッツ収容所の隣に位置していた。
時折り、銃声の様な音や悲鳴、怒号が聞こえて来る環境。
それにも増して、一日中、ブオ〜〜と言う様な重低音が
何となく家の中でも聞こえて来ている。
時折、空を覆うアウシュビッツからの煙。
川遊びに興じていてもいつの間にかアウシュビッツから
乳白色の汚泥が流れて来る。
そんな環境で、無垢な子供たちは少しずつ何かが蝕まれて行くのに
この家の女主人は、自分が丹精込めた家や庭から離れるのが嫌で
夫が人事異動でアウシュビッツを離れる話をすると
「あなただけ単身赴任すれば〜〜」などとつれない返事。
なんか現代にも通じるよね〜〜。
隣がアウシュビッツ!全くお構い無し!
そんな事、私の知った事じゃない!
その無関心な状態こそが「関心領域」
重い話と覚悟して観に行ったが
そんなにエゲツナイ描写は無い。
でも、ちょっと想像力を働かせれば〜〜〜
映画館で、逃げられない状況でぜひご覧ください。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては
想像力を総動員して観ると
恐ろしい話だと言うのは良くわかる。
映画の中盤、不機嫌な女主人が召使の女性に八つ当たりする。
例えば時代劇とかで女主人叱られて「今晩は晩飯抜きだよ」
と言われても、命までは取らないのだけど
この「関心領域」の家の中で
よく、その言葉が言えるよね!みたいな〜
この家の隣には何があるのか
確実に解っていて、この女主人はノウノウと暮らしている。
コ〜〜〜〜ワ!!
もちろん、解っていないとは思っていないが
この女主人が解っていても、その頭の中には
「人の命」のことなど、かけらも入っていない事を
改めて突き付けて来る。
翻って現実を生きる私。
この世界の理不尽な出来事を知るたびに
自分の懐と相談しながらのささやかにリンゴを置くしか
手を差し伸べられない小さな自分。
この手の映画は、世界を気にして目を向ける人は
何も言われなくとも観に行くのだろうけど
全く関心の無い人にとってはまさに「無関領域」の外!
「愛の反対は無関心である。」 これは
マザー・テレサの言葉といわれている。
どんなに良くできた映画であろうとも、
全く関心の無い人にいかに届けるのか?
結局その課題が残ってしまうんだよね〜〜
因みに今、ウクライナを攻めるロシア。
パレスチナを殲滅しようとするイスラエル。
チベットを凌辱し、台湾をロックオンする中国。
ロヒンギャを良しとしないミャンマー。
また、国レベルでは無くとも女性や子供が
搾取や暴力に怯えて生きている地域が
今、どれほどあるのだろうか〜〜。
みんな助かって欲しいと祈るだけでも
地球が0.0001ミリでも動くと信じたい。