劇場公開日 2024年5月24日

「収容所内のワンシーンの意味は」関心領域 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0収容所内のワンシーンの意味は

2024年5月24日
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冒頭の黒みと音というか音楽というか悲鳴約5分。

単なる黒みなら20秒で充分。

なぜ?

製作側のメッセージは、

【映画館】
と、
スクリーンの向こう側、
【現在も中東や東欧でおきている事】

【ヘス家族】
と、
【収容所】

収容所の塀、
映画館の黒いスクリーン、
無関心の壁、
関心を持たせる為のオープニングなのかもしれない。

もちろん、
それに観客がどう反応しようと観客の自由だ。

しかし、
それを前提で、
あえて、

関心が集まるような言葉を使うと、
会議のアジェンダになっていただろう、
KPI、
KGI、
大規模経営方法、
大人数オペレートのノウハウ、
は、
現代の世界中で人気のあれやこれやに、
どのように活かされているのか、
関心があれば、
すぐにでも調べることができる領域だ。

凄惨な現実をどこまで表現するのか、撮る撮らない、
音のみ、実景のみ等々。

劇中で出てきた、
現在のアウシュビッツ収容所、同じ場所、同じ建物、煉瓦造りのガス室もそのままだ。

犠牲者の遺品の靴やカバンのカットがあった。

その横には膨大な量の剃髪された毛髪、
メガネが置いてある。

何故、こんなに乱雑に展示してあるのか、
現在の収容所のスタッフに聞くと、発見された時に近い状態で展示しているそうだ。

その理由は、
凄惨な扱いを受けた怒り、嘆きをできるだけリアルに感じとってほしいそうだ。

明日が来ない収容所その領域その行程(汽車が劇中にも出ていた)、
それを日本語も含めた世界中の言葉に翻訳、
後世に伝えるという強い執念を感じた。

その毛髪は劇中には出てこなかった。

表現に関しての、
描写の抽象度の上げ方下げ方は、『サウルの息子』で書いているので省略。

ED音楽はリズムもメロディも、
ほとんどサスペリア、
レディオヘッドじゃない方、
じゃない方、
ホントはトム・ヨークが、
じゃない方。

【蛇足】

『AVALON』のシナハン時
(正確にはシナハンというよりも、英仏独で制作した場合の試算との比較で、戦闘ヘリ、戦車等々、軍の協力要請、ワルシャワ国立フィル、フルオケフルコーラスの録音方法の交渉等々)、

セリフでも出てきたポーランドのクラクフに行った時に、
アウシュビッツ収容所に見学に行った。

戦闘ヘリ、ハインドの撮影時の珍エピソードはyoutubeで話して、、、たかな、、、

蛇足軒妖瀬布