劇場公開日 2023年7月14日

「紙のみ前に跪け」ヴァチカンのエクソシスト bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0紙のみ前に跪け

2024年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

1974年に公開され、オカルトブームの火付け役となった『エクソシスト』を観た中学生の時、その怖さにスクリーンを凝視することができなかったことを覚えている。その時のインパクトに比べると、流石に本作は、それほどの怖さも感じなくなかったし、「今更、なんでエクソシスト作品…?」という思いもしたが、名優ラッセル・クロウが主演ということで、Amazon primeで鑑賞。

本作は、ヴァチカンのローマ教皇に命を受けた、実在のエクソシスト・ガブリエール・アモルト神父の回顧録を元に、1987年に起きた、廃墟となったスペインの修道院で起きた、悪魔祓いの様子を再現し、映画化している。個人的には、こうした類のものは信じないので事実はともかくとして、エクソシストの存在そのものが、ヴァチカンが生み出した人々を引き付ける崇拝手段の一つの様にも感じる。

物語は、亡き父が残した修道院の跡地に、母と姉弟の3人が移り住むところから始まる。しかし、その修道院をリノベーションしている最中に不吉な事故が起こり、息子までも悪魔に取憑かれてしまう。そこに、ガブリエールがローマ教皇直々の命を受けて、悪魔祓いに訪れる。母と姉、そして若きトマース神父とガブリエールの4人で息子への悪魔祓いを始めるが、ガブリエールは、その修道院には、忌まわしい過去に纏わる邪悪な怨念が宿っていることを知り、それが要因となっていることを明らかにしていく。

とまぁ、オーソドックスな『エクソシスト』作品ではあり、それほどのサプライズもなく、怖さでドキドキさせられることもなく、クライマックスを迎える。その中でも、悪魔と対峙するラスト10分の攻防は、それなりにVFXも駆使して、見応えもあった。

ラッセル・クロウも、最近は老年太りが甚だしく、嘗ての『グラディエーター』のイメージからはほど遠い。でっかくなった体で、ちっちゃなオートバイをヒョコヒョコ運転して、悪魔祓いに出向くシーンは、コミカルささえも感じた。今回は堕天使となった悪魔200体の内の1体だけとの悪魔祓いであったのだから、まだこれから199体と対峙しなくてはならないのは、気が遠くなる話しだ。

bunmei21