「ホラー映画としても怖さは控えめでも、ラッセル・クロウの存在感で最後まで楽しませてくれる一作」ヴァチカンのエクソシスト yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
ホラー映画としても怖さは控えめでも、ラッセル・クロウの存在感で最後まで楽しませてくれる一作
悪魔という巨大な敵に立ち向かうエクソシスト、という基本構図が分かりやすい作品です。
ホラー映画としても基本的な要素を過不足なく取り入れているので、良くいえば安心して鑑賞できる、悪くいえば新味がない作品、なのですが、ラッセル・クロウ演じるアモルト神父の描写が魅力的で、結末まで楽しい作品となっています。
ラッセル・クロウは、かつては屈強な肉体と男臭さを前面に押し出した俳優でしたが、本作の彼は、自らの年齢を重ね貫禄を増した姿を使って、アモルト神父のユーモラスかつ頼もしい人物像を演じています。
悪魔に取り憑かれて苦しむ家族の前に、巨躯を揺らしながらスクーターで登場する場面は、恐ろしさを忘れて思わず笑ってしまうほどです。
ダニエル・ソヴァット演じるエスキベル神父との師弟関係の描き方も印象的で、バディ・ムービーとして観ても面白い作品です。
実際のところ本格的なホラー映画を期待すると、恐怖描写が割と控えめなことに物足りなさを感じるかも知れません(色々新鮮な映像表現はあるけど)。
が、むしろ「あまり怖くない」からこそ、本作がホラー映画ファン以外の観客層の支持を集め、結果としてヒットにつながったのかも知れません。
本作を面白いと思った方は、ぜひともエクソシスト映画の古典、『エクソシスト』(1973)を、最近亡くなったウィリアム・フリードキン監督の追討を兼ねて鑑賞して欲しいところ。それと『L.A. コンフィデンシャル』(1997)や『グラディエーター』(2000)などで、ラッセル・クロウの肉体美、男臭さを堪能するのも良しです。
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