「内容は「哲学的で論理的で考えさせられるディベート」じゃない!!」SINGULA SONNY BOYさんの映画レビュー(感想・評価)
内容は「哲学的で論理的で考えさせられるディベート」じゃない!!
注釈:この映画は単純ではないです。これは大前提です。
まず、この映画の内容は「哲学的で論理的で考えさせられるディベートがエキサイティング!」というものではなく「監督の主張をじっくり考察して自分なりの答えを導きだそう!」というものであるという注意が必要です。メタファーや登場人物のセリフの中に潜む筆者の主張の探索...そう!この「面白い」には苦痛が含まれているのです。
その苦痛とは...?
例えば、もしあなたがこの映画を見てしまったら、おそらくあまりの退屈でこの映画をおすすめして来たあの友達の顔を殴りたくなることでしょう、また限りなく無限に等しい時間を海に浮かぶ木片のように過ごす羽目になるかもしれません。そんな苦痛です。
ただそれでも見ようというのなら、見てしまったのなら、私はこの映画の伝えたい内容をよく考えることをお勧めします。映画が終わった後も考え、帰りの電車の中でも考え、家に帰り布団の中でも考えることが、私たちを苦しめるこの映画へのせめてもの報いであると思うのです。
しかし、それによりどれほど救われるのか...?
はっきり言います、救いなんてものはありません。無力感を知るだけです。
私は考え続けましたが「この映画の伝えたい内容は〇〇だ!」と胸を張って言えません。個人的な考察の域を出ないのです。そう、どんなに頑張っても結論らしい結論を求められないのです!この映画は私たちの首を絞める手を緩めません、力は強まるばかりです!
...ただ、この絞める手を、私はよく知っています。
思春期、「なぜ私は生きているのか」という答えのない問題にひたすらに考察した辛い日々、そして自分なりの答えを出す、この行為と似た、苦しく、切ない感情が、この映画により思い出されるのです...私は、この映画が大好きです。「あの時」を愛しています。
報え、無力を知れ、ぜひこの映画を見てください。