「形式張った世の中を思い切り蹴り飛ばす」首 komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
形式張った世の中を思い切り蹴り飛ばす
北野武作品をこれまで観たことがなく、今回が初鑑賞。
キレッキレの信長にビビりながらも、どことなく昭和の邦画や小説を思い起こさせられる作風に懐かしさを感じる。ただ、誰が主人公でメインのストーリーがどれなのかが分からず戸惑ううちに、映画は終わってしまった。
しかし、観終わった後に反芻していると、登場人物が寓喩的な存在に思えてくるから面白い。北野武がビートたけしの中の感情や思考を一つずつ切り出して見せている様だ。
更には首実検で並べられた首たちは、上辺だけを取り繕うことを求められる社会に手足を縛られたお笑いの世界で、戦い敗れた芸人達の様にも思えてくる。
であるならば、主人公やストーリーのことで戸惑っていた私は、形式に洗脳され首を刈り取る事に必死な農民の一人なのだろう。
できればもう一度見直しに行きたい。
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エンドロールを観ながら、歴史物や時代劇の衰退が著しいなか、注目される監督や俳優がそれを撮ることの必要性を感じさせられた。
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