劇場公開日 2023年11月23日

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「見応えはあるが、おもしろさは…」首 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0見応えはあるが、おもしろさは…

2023年11月30日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

北野武監督作品で、予告もおもしろそうでしたので、それなりに期待していた本作。率直な感想としては、見応えはありましたが、おもしろかったかと問われれば、つまらなくはなかったという印象です。

ストーリーは、織田信長が自身の跡目相続を餌に、謀反を起こした荒木村重の捜索を命ずる中、この機に乗じて豊臣秀吉が家臣や元忍たちと画策して織田信長や明智光秀を陥れ、天下を取ろうと暗躍するさまを描くというもの。本能寺の変の謎は、さまざまな作品で描かれてきた鉄板ネタではありますが、本作ではそれを新たな人物像や解釈で描こうとしています。

荒木村重の反乱、家康饗応役での光秀の失態、本能寺の変、高松城の水攻め、中国大返し、山崎の戦いと、一連の歴史的イベントをきちんと押さえているあたりは好感がもてます。それでいて、独自の解釈として、裏で張り巡らせた謀略や暗躍する元忍などを絡めて、おもしろさを生み出していると感じます。また、光秀と秀吉にスポットを当てることで、比較的わかりやすく仕立てているところもよかったです。

とはいえ、それでもある程度の歴史的素養がないと難解に映るのではないかと思います。かく言う私も、理解が追いつかない部分がありました。また、思いのほかグロシーンが多く、そこまで描く必要性があるのかと感じます。タイトルの「首」は、天下人から農民まで、己の首をかけて相手の首を狙う、血で血を洗う戦国時代の惨たらしさを訴えているのかもしれません。その一方で、首をかける人々の行動を冷ややかに笑い、他人の命が失われることを意に介さない秀吉の冷酷さを描いているのかもしれません。

キャストは、ビートたけしさん、西島秀俊さん、加瀬亮さん、中村獅童さん、木村祐一さん、遠藤憲一さん、寺島進さん、浅野忠信さん、大森南朋さん、他にも名の知れた俳優をずらりと並べた、かなり豪華な布陣です。それなのに、コミカルな雰囲気を醸すビートたけしさんの演技が(これはこれで嫌いではないですが)、本作の雰囲気からは浮いているように見えて、他の役者との相乗効果を生み出せていないように感じました。あと、年齢的にも、信長役の加瀬さんよりずいぶん上で、史実と大きく異なるのも気になりました。また、加瀬さんを始め、聞き取りにくいセリフが多かったのも残念でした。三河人の私でさえこうなのだから、他地域のかたにはなおさらだったかもしれません。

おじゃる
おじゃるさんのコメント
2023年12月6日

じきょうさん、共感&コメントありがとうございます。
レビューを上げておられないようなので、こちらに返信いたします。
ビートたけしさんは監督に専念して、秀吉役は年齢の釣り合いの取れた実力のある俳優に任せたほうが、全体の雰囲気も統一されてもっと引き締まった作品になったのではないかと思います。でも、たけしさんが自分で演じたかったんでしょうね。

おじゃる
じきょうさんのコメント
2023年12月5日

おっしゃる通り、御館様は若すぎるし、猿とタヌキとキンカン頭は若すぎる。
映画は面白かったけど、違和感は残りましたね。サルだけでも信長と家康の間くらいに見えるようにして欲しかったですね

じきょう
トミーさんのコメント
2023年12月1日

共感ありがとうございます。
残虐、狂気、男色と笑いが今ひとつうまくミックス出来なかった印象があります。笑いの部分だけ、現代劇のように見えました。

トミー