「ノブナガコノヤロー」首 マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
ノブナガコノヤロー
豊臣秀吉
戦国-安土桃山時代の戦国武将で
織田信長・徳川家康ら
群雄割拠の時代にあって天下人となり
百姓の息子から関白にまで出世した
様は人間ではないのでは?という
説もあるほどの人物
北野武構想30年なんていうと
壮大に感じますが
要はたけしがこれまで描いてきた
アウトレイジなどに代表される
無法地帯の極限状態の中で描かれる
人間性や絆
…に対してそれを横から蹴っ飛ばす
あっけなさをどうぞ笑ってくれと
描くその様は
個人的には北野武の映画は
やっぱりお笑いの延長線上にあると
思っています
そんな今作
自身を百姓上がりの「侍ではない」
豊臣秀吉に置くことで武士達の
お高くとまったプライド
そのくせ実際にやってること
それらを笑い飛ばしかつ
利用しながらのし上がっていく
この映画は秀吉のそのスタンスが
徹底して描かれてます
切腹!首!
そうしたものを武士より
下に見られていた百姓のあがりの
秀吉が笑い飛ばしていく
これがたけしの戦国時代に対する
史観だったんでしょうね
実際は男色だらけ
プライドでガチガチになりつつ
戦なんかで死にたくないと
しか思ってない連中の集まり
これほんとに昔の話ってだけですかね
今の政治家命懸けてますか?
(いえ頭脳を発揮して日本の国益に適う
仕事をしてくれさえすればそれで
いいんですけどそんな人
長らく見てません)
そんな最大の揶揄にもなっています
明智光秀はそんな中
信長にプライドを折られ続け結局
息子に跡目を継がせようとする所作を
秀吉に教えられ逆上する
いややってることはアウトレイジ
とかとなんら変わらないです(笑)
変わらないんですよね
何をもって人が人に付いてくるか
金が名誉か利害関係か
そんな点においては現代も戦国時代も
変わらないじゃん
そんなところをたけしは
描きたかったんだと思います
殺されるとすぐ影武者が
用意され何度も何度も殺されては
替わりが出て来る様も
非常にシュール
実際演技の仕方もどこか
現代的な部分をあえて残しつつ
やってあります
それでいて
その人をその人たらしめたはずの
「首(ID)」は生きた証か死んだ証か?
という結論に落とし込んでいる結末は
見事でした
相変わらずバイオレンスではありますが
楽しめるとおもいます