宇宙の彼方よりのレビュー・感想・評価
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シュールな隕石ホラー
マサチューセッツから失踪した父を探しに第2次世界大戦中に父が駐屯していドイツ南西部の村にやって来た主人公ジョナサンが村人から怪奇の昔話を聞く、昔、森の近くに落ちた隕石が元で次々起こる怪奇現象で村人が怪死したというホラー映画、ラストになって行方不明だった父親を森で発見でお終い。
原作者のラブクラフト(1890-1937)はアメリカで人気の怪奇小説家だそうで自身の作品を「宇宙的恐怖コズミック・ホラー」と表していました。宇宙的恐怖とは、「あまりにも人智を凌駕した、広大で虚無的な恐怖の前では人間の価値観など何の価値もない」といった恐怖感のことだそうです。
宇宙ウィルスが原因かと思いましたがピンク色の怪光を放つ謎の球体、全編モノクロなのに怪光だけは着色と凝ったつくり、原作がThe Colour Out of Space(宇宙の彼方の色)、原題がDie farbe(ドイツ語で色)ということから執着が伺えます。
ただ、登場人物と時間軸が良く分からないし、SFとしては面白くも怖くもなくシュールなだけで退屈でした。
H.P.ラブクラフトの世界
禍々しさに満ちた色
ローバジェットゆえの創意工夫
H・P・ラブクラフトの『宇宙からの色』の映画化だが、製作は2010年。2019年製作のニコラス・ケイジ主演『カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇』を先に観ていたので、それとの比較。ニコケイ版は時代設定を現代に、田舎に越してきた一家を主軸にしていたが、本作では舞台を第二次世界大戦前後の西ドイツ、そして主人公の息子が行方不明になった父親を探しに村を訪れるというあらすじになっている。
ニコケイ版は、もはや彼の十八番となったイッちゃっている演技が炸裂しており、スリラーとブラックコメディが同居したザッツ・ニコケイムービーになっていたが、本作ではヨーロッパの作品らしく、しっとりジワジワと主人公に謎の「色」が忍び寄ってくる演出が特徴。風や雨、時計や床板の軋みといった自然音や生活音が観る者の不安・不快感をさらに煽る。テレビ版『トワイライト・ゾーン』のテイストを狙った感も。ローバジェットゆえにいろいろな点での地味さ、乏しさは否めないものの、全編モノクロというのが「色」の怖さを高めている。
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