「滅びの美学」花腐し ださいはずのさんの映画レビュー(感想・評価)
滅びの美学
このところ、綾野剛出演の作品を何作も続けて観ている。映画もTVドラマもNetflix限定ドラマもあるが、どの作品もこの登場人物は自分の老後どころか十年後のことも考えていないだろうな、みたいな役柄が全てだった。
そしてこの作も綾野剛演じる栩谷は、滅びゆくピンク映画の監督ながら5年も撮っていない、業界に将来はないのは自明ながら、とはいえ小器用に転身を図ることもできない。ピンク映画とともに、朽ちていく登場人物である。虚無的で退廃的で無気力である。だがそこがたまらなく魅力的で美しさがある。
花が腐るときの匂いはおそらく生々しいのだろう。花腐しの原作は20年以上も前に読んだが、映画よりもさらに雨の中で腐っていく、花もだが全てが、という風情が魅力的だった。
あと祥子が出演することになったが、伊関が口争いの中で誰も観ないだろうと腐した劇団、私が好きでよく観ていた劇団なのは笑った。エンドロールでも確認できた。
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