劇場公開日 2023年11月10日

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「役者陣の見事な掛け合いが切なさに拍車をかける」花腐し いけいさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5役者陣の見事な掛け合いが切なさに拍車をかける

2025年1月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

「火口のふたり」つながりで鑑賞。
率直な感想としては、「火口のふたり」よりも数段良かった。
胸が締め付けられるほどの切なさの中にも、ちょっとしたユニークが見え隠れするセンスは絶妙。栩谷と伊関の言葉や仕種の掛け合いが見事にストーリーにはまっていたし、映像的にもきれいに凝っていて、全体としてとても観応えあった。綾野剛と柄本佑の演技力に感服。彼らの演技は終始観逃せないし観逃したくない。名演技のオンパレードだ。
数々の名シーンがあったが、その中でも「2度のワードの書き換え」は特にグッときたかな。
ラストシーンからエンドロールまでもが深く魅せられる。そして、少し救われる。実に計算し尽くされてると思う。
とにかく本作は観終えた時の余韻がたまらない。解釈が多岐にわたるところも、この何とも言いがたい余韻の所以であろうか。
何度か観返したくなるほど魅力ある作品なのだが、R18にてTPOが難しい。祥子のシーンは観ている者の想いを募らせるためにも必要不可欠に思うのだが、いっそうリンリンちゃんあたりのシーンはもう少し抑え気味にして、R指定をもう少し緩くする位の方が遠慮なく観れるしストーリーも締まる気がする。それはそれでちょっと惜しい気もしますが…(笑)
そのあたりがちょっと気になり星5つとはしないが、いずれにしてもお気に入りの一作になった。

いけい