「不器用な男達の不器用な愛」花腐し 雨雲模様さんの映画レビュー(感想・評価)
不器用な男達の不器用な愛
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桐岡祥子を巡る二人の男のほろ苦い恋物語だが、多分女性としての視点で見てしまうと、最低じゃねぇかに尽きるのだが、この作品の良さはピンク(=エロ系)に生きながらいかに良作を生み出すためにはと思い描く二人の男としての苦悩を描く。映画監督の栩谷は大家からの依頼で家から出ていくようにと説得をするために井関の部屋へとやって来て、やがて二人は同じ業界にいることを知り仲良くなっていくに連れやがて二人が以前付き合っていた印象に残る女性が同じ女性であることに気づき始める。
最初は同一人物とは知らずにお互い話すのだが話していくに連れ共通項があることを知りやがて名前はという流れになり、結果同一人物だったという事がわかるのだが、最大の謎は何故桐岡祥子は桑山と心中してしまったのか。女優としていちひとりの女性として生きるのが辛くなったのか、そこに栩谷に対する最終通知という意味があるのだとしたら、彼女は愛する人に愛され家庭を持ち幸せな人生を歩みたかったからこその逃避行にも思える。
栩谷や井関は桐岡のことを自分なりの愛情表現だったかもしれないが、幸せになることを女性として望む彼女にとって、彼らの存在は我が身をボロボロにするだけでなく、幸せからも遠のいてしまうことに絶望し、彼女は彼女なりの栩谷に対する最期の別れだったのだとしたら通夜に入れさせては貰えない理由も自ずと分かってくる。
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