「名シーンかな “カラオケデュエット”」花腐し flushingmainstさんの映画レビュー(感想・評価)
名シーンかな “カラオケデュエット”
綾野剛さんのくぐもったセリフ運びに多少の違和感を感じながらシーンは進んでいくのだが、人々とのやりとりを見続けるうちに、その内なる喪失と悔恨の心情が怒涛のように迫ってくる。これぞ役作り!
綾野剛さんは「自分の役は荒井晴彦さんそのものでいいのだと気づいた」とどこかに書いておられた。当の荒井さんは「なくなっていくピンク映画へのレクイエム」と仰る。でも綾野剛はスクリーンの中で、ピンク映画にレクイエムを捧げているわけではない。ピンク映画にレクイエムを捧げる荒井晴彦にリスペクトを捧げている。そこが何とも素晴らしいのだ。
ラストシーンは現場で急遽振られたというさとうなほみさんとのデュエットだ。そのことがここでも怒涛のように押し寄せてくる。
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