「残像」リゾートバイト ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
残像
ネット投稿された話とは別物になっていると聞いたので、話のさわりだけ見て劇場に突入しました。
前半はしっかりJホラーをしていたのに、後半になって遊び心が爆発してしまったが故にオリジナル展開に突入してしまうという普通ならお怒り案件なんですが、もう捻じ曲げてしまってるがために笑いっぱなし驚きっぱなしでした。
リゾートバイトをしにきた大学生の桜と聡と希美。至って普通のバイトをしていたはずだったけれど、女将さんが夜な夜な訪れている部屋を訪れたら謎の子供が見えたりするなどの不可解な現象が起こってしまい、やがて島で過去に起こっていた事象と同じものが桜と聡の身に起こって謎の巨大生物までも現れて…といった感じの内容です。
入ってはいけない部屋に入るなといっても入っちゃうのはまぁお決まりですし、呪いがかかった2人にしか見えない子供がお目目真っ黒になったりと雰囲気が王道ですが悪く無いものに仕上がっており、ここからどうなるんだろうと思ったところに何かが巨大化したところで流れが変わりました。
キャッチコピーの"読めない86分"の通り、作品が変わったんじゃないかレベルで八尺様を混ぜるという訳のわからない事をしてくれました。
魂が無い体に生きてる人間の魂をぶち込むというストロングスタイルにまず笑いましたし、そこから入れ替わりもので坊さん・岩崎さん・希美がそれぞれの体に入って(岩崎さんはそもそも不参加だった)、時間が無いからそのまま計画を実行するという無鉄砲っぷり。それが思わず化学反応を起こすもんですから上手いなと思いました。
伊原さんが前半のナヨッとした感じの演技があまり上手くないなと思っていましたが、某さんが憑依してから雰囲気も喋り方もガラッと変わって躍動感満載の演技を堪能できました。前半はフリだったのかってくらいの変貌っぷりでした。
前作の「きさらぎ駅」では2回目のきさらぎ駅ルートを爆速で駆け抜けるRTAという不思議な展開に爆笑しましたが、今度は八尺様とのカーチェイスとかいうもう原作のかけらも無い描写には笑いっぱなしでした。八尺様の動きがカクカクなのも相まって面白くなっていましたし、目開けるなっつってるのにもう全開で八尺様見てたりとセオリーガン無視で進めていくのが最高でした。
存分にふざけまくった後の終わり方はどうするんだろうと思いきやまさかのしっかりホラーに回帰する、しかも原作とは違うバッドエンドに突き進むという変化球を仕掛けてきたくれました。
魂が桜と聡の元に戻ったかと思いきや、聡が食べれないはずの生魚を踊り食いしていて、そこから坊さんと女将と旦那さんの不穏な会話により、坊さんの娘と女将たちの息子の魂が現世にとどまって、空っぽの体にうまいこと乗り込んだというあのふざけっぷりがブラフなのかというくらいゾッとする終わり方には痺れました。ギャップが強烈でした。
暴れ回った映画を観終わったので、じっくり元の話も読んでみようと思います。都市伝説映画の3部作の最終作という事ですが、ぜひこれからも様々な都市伝説をミックスさせつつ怪作を作り続けていってほしいです。
鑑賞日 10/26
鑑賞時間 12:20〜13:55
座席 D-1