「思い遣りの花」シェアの法則 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
思い遣りの花
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奇を衒わない暖かさが心地よかった。
主役の秀夫は、喜代子に礼も言わなかったり息子にキツく当たったりと、冷たく見えるところもある。
しかしそれもあくまで習慣や常識、固定観念にとらわれてのことで悪気がないのが分かる。
むしろ人情や茶目っ気、誠実さもあり、そんな所謂“昭和の人”を小野武彦が好演しています。
住人の掘り下げは深いとは言えないが、尺と全体のバランスとしては非常によかったと思う。
ほとんどがシェアハウス内で展開されるのに飽きないのは、元が舞台劇だからか。
貫地谷しほり演じる美穂の、年齢2段落ちは笑った。
隠し子や不法滞在などに対しても、厳しくはあっても冷たい人、悪い人がいないのも気持ちいい。
加奈子役の岩瀬顕子さんが、脚本や主題歌の作詞も担当していたと知り、余計に舞台挨拶の中止が残念でした。
秀夫がクルージングを考えていたように、喜代子も温泉旅館を考えていた。
ベタだが、お互いの愛情を感じて涙腺が緩む。
正直、台詞で説明しすぎだし演技も舞台っぽくオーバーな部分が多かったとは思う。
また息子さんだけは最後まで好きになれなかった。
それでも全体を包む雰囲気だけでも満足感は高い。
大人のドラマなのもあり、成長や極端な変化ではなく、触れ合いによる融解が描かれていたのも好感触。
清掃業者の彼がハマったのは、熟女ではなくドMの沼だと思う。
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