「思いやりがあればうまくいく」シェアの法則 かねぼんさんの映画レビュー(感想・評価)
思いやりがあればうまくいく
映画『シェアの法則』の内容は、東京の一軒家をシェアハウスにした管理人夫婦を中心とした、年齢も職業も国籍もバラバラの個性的な住人の物語りです。管理人である社交的な妻が、ふとした事故をきっかけに入院することとなり、不愛想で誰とも打ち解けようとしない夫の秀夫が妻の代わりとして管理人を務めることになります。
夫の秀夫役は、1970年代から活躍している小野武彦さんが80歳にして初の主役、妻役は宮崎美子さん、そして貫地谷しほりさん、鷲尾真知子さんはどこかで必ず見たことがある方。岩瀬顕子も住人の役、そして彼女のプロデュース劇団『日穏-bion-(ビオン)』でもお馴染みの内浦純一さんも出演しています。
秀夫はこれまで人との関わりを避けて生きてきた老人で、息子のことを心配するけれど、あくまでも自分軸の目線。息子にとっての幸せはこうなんだと決めつけ、息子が何かを言っても一切聞き入れません。んー典型的な昭和のがんこおやじ(笑)😅
そして一見、普通の住人たちが、それぞれ驚くような悩みを持っており、彼らが一緒に助け合う中でもまれながら、主観のみで周りのことを決めつけてきた秀夫が、相手を「思いやる」ことの大切さがわかっていきます。その流れが、自然で段々と温かい変化が見受けられいき、胸のあたりが温かくなりました。
岩瀬顕子さんがインタビューで「相手の立場に立って物事を考えてみる」と言っていましたが、私もこの映画を観終わった後の真っ先の感想がこうでした。話変わりますが、今年観た、北アイルランド紛争の影響が残っているベルファストの小学校を舞台にした『僕たちの哲学教室』という映画がありましたが、相手を理解するためには、「相手の立場に立つ」と全く同じことを言っていたことを思い出しました。
これは一見とっても簡単そうですが、実はかな~り難しい。「自分が正しい」このような自身を正当化したエゴからは、理解どころか争いや紛争を長引かせるだけ。ゆるやかに変わっていく秀夫を観ているうちに、心がホカホカになってきて、映画の中の登場人物と、またそれを感じている自分までもが愛おしいと思えてしまった、いつもの岩瀬顕子ならではの”何気ないハートウォーミング💕”な素敵な映画でした。