「登場人物それぞれの立場での苦しみがある」ミッシング ぽんぱるさんの映画レビュー(感想・評価)
登場人物それぞれの立場での苦しみがある
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幸せだったころの回想と両親のビラ配りという対照的な場面からスタート。
石原さとみさんはこの役になりきってそれは心を削っただろうし、演技も素晴らしかった。
そして実際に我が子が行方不明になったりしたら自分も、夫婦関係や姉弟関係もこんなもんじゃ済まないんだろうなと思いながらも、どうしても最後まで映画に入り込めない自分が居た。
一番共感できたとすれば弟の圭吾。
行方不明になる直前まで自分と一緒に居て、一番責任を感じつつも、違法賭博に手を出してそこに居たことを隠したいために本当のことは言えないもどかしさ、辛さ。そこを取材で暴かれ、姉にバラされた時の気持ちはたまらなかったろう。
母親は母親で、ライブに行っていたときに行方不明になったという負い目があり、弟を責めることができなかったのが、事の真相を知り、一気に責め立てる。
それでも終わる直前に、姉弟で抱き合い、和解できたこと、あとは類似事件の女の子が無事だったことだけがこの映画の救い。
どうやって行方不明になったのかもわからず、結末もわからず、ただただ苦しい映画となってしまった。
TVマンの砂田を観ていて、映画「凶悪」の新聞記者藤井を思い出した。
相手に共感するあまり、相手に飲み込まれてはいけない。
取材するものはあくまでも対象に寄り添いながら冷静な第三者の目で取材をしなければいけない。そんなことを思った映画だった。
助かった女の子の母親から手伝わせてくださいと言われて、最後に父親が泣き崩れるシーンの印象が強く残り、悲しみと苦しみが増した気がした。
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