「その『事実』が面白いんだよ」ミッシング uzさんの映画レビュー(感想・評価)
その『事実』が面白いんだよ
かなり堪える作品だった。
主役の夫婦がすごくリアルで、石原さとみの憔悴ぶりが心に刺さる。
綺麗に可愛く撮られようなんて微塵も感じない。
ただ、自分は完全に旦那さん側の人間なので、彼の気持ちの方が痛いほど理解できてしまう。
必死で探したいが故の冷静さでもあるのに、冷たいと思われ、取り乱せない自分に心がないように感じる。
八つ当たりを自覚して互いに謝ったり、2年後には絆が強くなってたのは救い。
ただ、逞しくなった様子は慣れも感じ、哀しくもあった。
沙織里は身近な人ほど感情的で当たりが強くなってたが、そういう意味では砂田は寄り添えてたんだと思う。
少しの怒りと諦め、そして大半を冷静さで覆われ発せられたタイトルにした台詞がとても重い。
痛ましい事件でも、やはりどこか他人事で、エンタメとして消費してしまっている部分がある。
興味を惹かなければ報道を続けることすら出来ない。
誤解なく事実を届けたい想いと、数字を取らなくてはならない現実。
沙織里と砂田が揉めてる後ろでカメラマンがチラシを丸めて撮ってたり、誕生日を前倒したり。
インタビューのシーンを見て叩けるヤツは信じ難いが、カメラが入ってる時点で視聴者は演出を感じてしまう。
弟やその先輩、旦那の上司など、ちょい役に至るまでそれぞれの苦悩がよく描かれている。
沙織里の後輩や印刷所のおっちゃんなど、終盤に人情を感じるシーンが多い。
何故はじめからこうでないのかとも思うが、沙織里目線で受け取りきれてなかったということだろうか。
ママ友がBlancのTシャツを着てたのはやり過ぎと感じるが、娘が見つからないこと含めてとても真摯な作品。
気分は重いが、観てよかった。
砂田さんには無力さしか感じませんでした。密着も終了させられたようだし、ネットでの誹謗中傷ヘの訴訟報道を眺める視線、アザラシ待ちの海岸、組織の中は辛いですね。
お疲れ様です。
コメントありがとうございます。
沙織里は身近な人ほど感情的であたりが強くなっていた。
確かに!砂田に対してもそうでしたね。砂田は沙織里の支えになっていたことは確かで、そういう意味では彼女に寄り添えていましたね。
私が砂田に感じた違和感こそ、無意識の悪意なのかもとハッとしました。気付かされました。
》カメラが入っている時点で視聴者は演出を感じてしまう
正に!鋭いですね!ホントそう!
あのちょっ早連打メールを受け取った圭吾。
罵倒されながら公園に引きずられていく圭吾。
顔の見えない悪意よりも身内に疑われる事の方がはるかに辛い。
悲劇の連鎖を想像してしまいましたが、そうならず安堵しました。
沙織里の知らない所で、ホテルにチラシ設置を頼んでいた豊。
ここもぐっっっ!となりました。
感想が溢れて止まらない作品でしたが、個人的には港区の匂いのするさとみが好きかもですw
あの刑事、
たけし軍団でしたね。
それは置いといて、
刑事の車が高級車だったシーンは、
事件の裏に何かあるかと勘繰ってしまいましたが、
後から思うと、
中村倫也の妬みでしかなかったのでしょうね。
これまたキツイなー。
今晩は。
共感及びコメント有難うございます。
他のレビュアーさんからも、同じご意見を頂きました。
青木崇高さん演じる豊は、娘が居なくなった事で錯乱する沙織里を彼自身辛いのに常に冷静に、妻を宥めて来た姿をずっと見て来ただけに(私が男だからかもしれませんが)豊が同じように娘が居なくなりながら、豊夫婦がお金がない中チラシ作成をしていた事で、娘が見つかった母親が言った言葉に、嗚咽したのだと思いました。
あのシーンは、思わず落涙しました。では。
こんにちは。共感ありがとうございました。
自分は完全に旦那さん側の…の部分、よくわかります。私は妻側なので石原さとみの役がよくわかる一方、第三者として冷静に見ると、女性の方がヒステリックかも(語弊がありますが)とちょっと思い、この映画では旦那さんに同情してしまう部分もありました。
共感&コメントありがとうございます。
確かに視聴者の関心が薄れたネタを取り上げているだけマシかもしれませんね。それでも、根っからのマスゴミ嫌いな私は、自分たちの行いが社会正義だと言わんばかりの彼らのスタンスがどうしても不快なんです。むしろ数字が全てだと本音で言ってくれた方が清々しいです。
uzさんのレビュータイトルのセリフは、とても印象的でよく覚えています。結局、視聴者がそれを求め、テレビ局はそれに応えているだけということでしょうね。視聴している私たち自身の問題でもあるように思います。