劇場公開日 2024年5月17日

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「少し違った観点からの観方で。」ミッシング yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0少し違った観点からの観方で。

2024年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年188本目(合計1,280本目/今月(2024年5月度)22本目)。
(前の作品 「ハピネス」→この作品「ミッシング」→次の作品「猿の惑星」)

 静岡県を舞台にする(この点後述)、女児行方不明事件に対する、親の態度や、マスコミの過熱ともいえる報道体制、警察のやる気なしっぽい対応ほかが論点の映画です。

 この監督の方の過去の作品のレビューでは、前々から「そういう事件性のあるものは当事者が動かず弁護士に相談したほうが良い」ということは前々から書いていますが(事件性のあるものを、弁護士以外が行うとアウトなので注意。行政書士もできません)、その点はもう三番煎じなのでもうすっ飛ばします。

 言いたいこと自体はかなり理解がしやすいし、途中で起きるできごと(いたずら電話、ネット炎上ほか)も現在(令和5~6)にあるような話題で、ここについて触れられていたのは良かったなといったところです。また、マスコミの過剰報道ほかについても明確に触れられていたのはこれもまた良かったところです。

 マスコミの過剰報道や「警察のやる気なし」については、なかなか一市民(一県民)がどうこうできるわけではないですが、ネットの炎上に加担しない、いたずら電話などをかけないといった当たり前の話は誰にでも通用することであり、この点について問題提起があったのは良かったところです。

 エンディングに近くなると動きが出ますが、結末がどうなるかは見てのお楽しみといったところでしょう。

 採点に関しては以下を考慮しています。
なお、「静岡県が舞台である」という点については後述します。

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 (減点0.2/「刑事告訴し」…)

 ・ 意味を理解しなくもないですが、前後の関係から「起訴し」が正しいです。
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 (減点なし/参考/静岡県において何が起きたか)

 以下は、実際の映画監督さんやいわゆる「××映画プロジェクト」(いわゆる製作委員会形式)の類が想定しているかどうかは予測外です(そうかどうかは区別がつかない)。

 日本の刑事事件の最高刑は死刑ですが、戦後まもない事件においては、戦後の混乱期もあり、まともな調査も行われないまま死刑が確定し、そのあとの粘り強い再審請求で無罪を勝ち取った事案があります。代表的なものが4つあります。

 静岡については、今の(当時も)島田市で起きた幼女誘拐事件に関し、何ら証拠もないのに被疑者を逮捕して最高裁で死刑が確定するも粘り強い再審請求で無罪が確定した事情があります(「島田事件」)。

 このことはまだネットもなければテレビ局も1つあるかないか、下手すればまだラジオや新聞のほうが影響が強く(まだ、インターネットなるものは存在しない)、新聞にせよラジオにせよ根拠があろうがなかろうが「黒と書けば黒」というような風潮があり、また、静岡県警もこの事案についてはまともな調査をしていない(よって、真犯人が誰かもいまだにわからず、もはや追えない状況)ことも再審請求から明らかになっています。こうした事案は何も都市部(東京大阪)に限らず、地域特性(地域によっては、警察が好き放題したり、マスコミが好き放題したりといったところがある)によるところが大きいです。

 翻ってこの映画を見ると、一部において重複している点があり(小さい女の子が絡んでいる点、マスコミの暴走、警察のやる気なしほか)、個人的にはこの事件をある程度意識したのではなかろうか…といった見方です。

 ※ こういった事案で日本では大きな事件に限っても4つあり、そのうちの一つが島田事件(静岡)であり、実際に無罪を勝ち取れた一つの事案です。戦後間もない時期であるという特殊事情はありましょうが、昭和末期から平成一桁くらいまではこうした状況は程度の差はあっても変わっておらず、法律系資格持ちとしても思想の一つとして「死刑を積極的に推進する立場に立たない」のはこうした事情があるからです(令和6年時点においても、合理的に疑義が残る事件はいくつか存在します)。

yukispica