「最高です」劇場版 ポールプリンセス!! とびまりさんの映画レビュー(感想・評価)
最高です
ポールプリンセス!!はプリティーシリーズ(KING OF PRISM含む)でおなじみのタツノコプロCGディレクター乙部善弘とavexプロデューサー西浩子のコンビが中心になってつくられたポールダンスと頑張る女の子をテーマにしたアニメーションです。2023/11/23に劇場版が公開されました。それ以前にも声優とポールダンサーによるリアルイベント、劇場版につながるエピソードのyoutube公開などされていました。劇場版は60分(特別料金1700円)で鑑賞する方としても疲れず、映画館にとっても上映しやすいような短めの映画となっています。映画の構成としては、前半の30分で7人のメインキャラクターの人物像が理解できるようなドラマパート、後半の30分でポールダンスの大会が始まり、6つのCGライブパートが流れるようになっています。前半と後半が独立しているという訳ではなく、前半で4大会連続優勝のプレッシャーを感じているユカリ(CV南條愛乃)が後半でそれをはねのける演技をする、前半で過去の失敗が描かれたヒナノ(CV土屋李央)、スバル(CV日向未南)が、後半ではトラウマを克服する演技をする、といった伏線回収がされています。60分で7人分なので正直ストーリーは駆け足気味です。「八方美人」「優しいだけの自分を抜け出し、より高みへ」と紹介された蒼唯ノア(CV早見沙織)が優しいだけの自分を抜け出している描写がない、スタッフミーティングでの「ストーリーはそげおとす形で作られていったためスマホやバックなど小物のデザインにキャラクターを落としこんだ」といった発言から、企画段階ではもう少し長い映画の予定だったのかもしれません。公開時にはキャストやスタッフの舞台挨拶を複数回やったり、ポルプリ50回みたよTシャツプレゼント企画などのプロモーションがされていましたが、空席が目立ちました。そもそも20館程度の小規模の公開で地方民は見れない人も多く、ポールダンスという親和性の低いテーマのオリジナルアニメで新規層開拓も難しい状況でした。小規模公開からのヒットとなると(ほぼ)同じスタッフでつくられたKING OF PRISM(2016年~)があります。KING OF PRISMはプリティーシリーズ3年目の作品であるプリティーリズムレインボーライブに登場する男子プリズムスタァに焦点をあてたスピンオフ(監督いわく続編)作品であり、タツノコプロCGによるプリズムショーと応援上映が話題になり、多くの新規層を得ました。これにはレインボーライブからの熱心なファンによるTwitter(現X)でのプロモーション活動が大きなきっかけとなっていました。SNSでの話題性が重要なことは周知の事実であり、ポールプリンセスでも#映画ポルプリみたよ、でツイートするとキャストサインなど豪華賞品が当たるキャンペーンをしていました。全パートで応援できる全力応援上映、ライブパートのみを応援できる上映、と公開当初より2つの応援上映を用意するといった「応援上映特化型」の映画としてもKING OF PRISMと同様です。ポールプリンセスでは新宿バルト9の小シアターにとどまっていましたが、公開2~3週後には質のいい応援が乗る上映ができていたと思います。しかしその後ポールプリンセスの応援上映は新宿含めなくなってしまいました。応援上映を仕掛けるのはなかなか難しいです。他のアニメ映画でも流行りに乗って応援上映が企画されることが増えましたが、応援が盛り上がらなかったり、ひどい言葉や罵声がとびかってしまうこともあるようです。そもそも応援上映向きの映画でなかったり、応援上映前にキャラクターが応援上映の指南をしてくれるパートがないことが原因と思われます。ですが応援上映を企画することの話題性は大きく、それだけ応援上映を一般化したKING OF PRISMの映画への功績は大きかったといわざるをえません。KING OF PRISMの菱田監督は、KING OF PRISMの前哨戦として劇場版プリパラみ~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ(2015年)のルート4での男子プリズムスタァへの熱烈な応援上映を経験しており、そこから応援上映向きの映画をつくる手法を得ています。最初にライブパートで観客をひきつけ、映画が始まって15~20分の初見がもっとも飽きてしまうタイミングで小室哲哉のカバー曲でバトルライブをするという熱く盛り上がるパートをもってきます。クライマックスでは応援上映がないと完成しないプリズムジャンプ、「みんなに言いたいことがありまーす!」「な~に~?」(2005年まで放送されていたV6によるバラエティ、学校へ行こう!での人気コーナー、未成年の主張のパロディー)で観客を未知の感動に導くのです。
ポールプリンセスは今のところ応援上映はなくなってしまいましたが、一部の熱心なファンを得て新宿バルト9では4ヶ月以上ものロングランとなり、御子白ユカリ観客賞第1位受賞記念!舞台挨拶付き☆お誕生日上映会などイベント上映を多数開催、イベント時にはバルト9のシアター9(420席超)を埋める盛り上がりをみせています。ポールプリンセスは前半にキャラクターを描くドラマパートがあります。そこでの主人公ヒナノの言葉「前のわたしはなにか言われるとすぐぽしゃっとなっちゃって」には衝撃を受けました。なにかを始めても、なにか言われるとすぐ傷ついてやめてしまう、これは現代の若者の特徴といえるではないでしょうか。困難なことに対してなにくそ!と頑張れる人が減ってきたと思います。後半にはタツノコプロ最新の技術が惜しみなくそそがれたCGライブで、ヒナノたちが仲間の応援からパワーをもらってトラウマを克服する姿が描かれます。このポールダンスという素材と頑張る女の子という相性がよく、ポールを力強く握って登っていくシーンを見れば、ヒナノたちのもつ才能やパワーを感じざるをえません。ポールダンスとCGライブの相性もよく、手描きでは出来ないような複雑なダンスをあらゆる角度から画角を動かしながら撮影するという人類未踏の、何度見ても飽きないライブパートとなっています。
ポップアップショップやWebくじといったグッズ展開も続いていますし、なにより2024/4/7、大田区産業プラザPiOで2回目のオンリーイベントとなるPole Dance Princess2が開催されるはこびとなりました。これはファンの盛り上がりがないと出来ないことです。今後もさらなる展開のため、圧、かけていきましょう!!