「ポリシーのない殺人鬼。ゴア度高め、演出鈍重。」テリファー レントさんの映画レビュー(感想・評価)
ポリシーのない殺人鬼。ゴア度高め、演出鈍重。
配信サービスのおかげでこういうわざわざ映画館では見る気がしない作品を手軽に見れるようになった。劇場鑑賞未満、テレビ鑑賞以上といった感じかな。
本作はハロウィンの夜にピエロに仮装した男による殺戮の一夜を描いているが、とても7年前製作とは思えないほど映像が古臭い。そして映像だけでなく演出もとても今風のキレがない、というか鈍重なのだ。それは後半クライマックスへ近づくほど顕著となる。主人公と思われたタラのお姉さんが参戦した辺りから特に演出、演技のひどさがより目立ってくる。
惨殺死体を発見した時点でなぜ表に出て警察に通報するわけでもなく、建物の奥まで進むのか。通常では考えられない行動だ。そこまで妹思いだったということなのか。この後繰り広げられる延々と続く追いかけっこにはうんざりさせられた。
どう見ても話が通じない相手にお願いやめてーとどんだけ叫んでるのか。いい加減早く殺されろよと思ってしまうくらい。でも肝心な時にはピエロは何故か刃物を使わずビニール袋を使ったりと訳が分からない。
演出、脚本と全てが学生映画レベル。ただ、本作はゴア描写だけは突出していた。
後で調べたら監督、脚本は特殊メイクアーティストの人だそうだ。それで全てが合点がいった。どおりでゴア描写だけ出来がいいはずだよ。
いまやCGに仕事を奪われたもんだから、それなら自分で仕事を作ればいいというその気概だけは素晴らしい。
それにしてもこのピエロはポリシーのないやつだね。拳銃は反則だろ。先輩方からおしかりを受けるよ、まったく。
かつてジェイソンはマチェット、フレディは鉤爪、レザーフェイスはチェーンソーと彼らには自分のお気に入りの武器で殺すというポリシーがあった。しかしこのピエロにはそんなポリシーはない。殺せれば方法は何でもありだ。まあ、古い考えにとらわれないシリアルキラー界のリベラル派なのかな。