コヴェナント 約束の救出のレビュー・感想・評価
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24-031
ガイ・リッチー
恩義に報いるとは
兵士の覇気が半端ない
ホントの主役は、アーメッド
それぞれ
ガイ・リッチーじゃなくても良かった映画
コヴェナントの重みに胸が熱くなった
エンタメ要素を強くした方が良かったかな
アメリカが行ったアフガニスタンにおけるタリバンとの闘いを舞台に、アメリカ軍のキンリー曹長と、現地で雇われた通訳のアーメッドとの”絆”を描いた作品でした。イギリス人のガイ・リッチーが監督を務めていたものの、内容が内容なのでてっきりアメリカ映画かと思いきや、イギリスとスペインの合作ということでちょっと驚きました。まあ9.11以降20年に渡って続けられたアメリカによるアフガンへの報復攻撃には、アメリカだけでなくイギリスも連合軍の一員として参加していたので、英米の間柄にも太い太い”絆”があるのは確かなのですが。因みにスペインは、アフガンでは撮影出来ないので、撮影地に選ばれたようですね。
内容的には、「ブラックホーク・ダウン」とか「アメリカン・スナイパー」など、近年のアメリカの戦争物と軌を一にするものという印象でした。違いがあるとすれば、これら2作品がノンフィクションに寄せた作品だったのに対して、本作はフィクションに寄った作品だったことや、主人公のキンリーがアメリカ人だったけれども、その相棒のアーメッドはアフガニスタン人だったというところでしょうか。
ただ作品紹介によると、「アフガニスタン問題とアフガン人通訳についてのドキュメンタリーに着想を得て撮りあげた社会派ドラマ」とされており、現地でタリバン等と闘ったアメリカ軍は、実際現地の人を通訳として雇っていたのは本当のようです。そしてアフガニスタン人がアメリカ軍に雇われることは、タリバン側から見れば敵に寝返る行為になることから、2021年にアメリカ軍がアフガンから撤退した後に、数百人の通訳がタリバンによって殺害されたというテロップで本作は締めくくられていました。
逆に言えば、そうした高いリスクを冒してでもアメリカ軍に雇われるアフガニスタン人がいたのは、タリバンへの反発心も多分にあったでしょうが(本作のアーメッドは、子供をタリバンに殺されているという設定)、高額な金銭的報酬とともに、アメリカのビザも与えるという契約があったことが、その動機にあったものと思われるし、本作でもそのような描き方をされていました。
ストーリー的には前後半に分かれていて、前半部はアフガンに派遣されていたキンリーの部隊がタリバンの拠点を攻撃したものの、キンリーとアーメッド以外全滅してしまい、しかもキンリーは重傷を負ってしまうことに。そんなキンリーを、アーメッドはソリや大八車に載せて100キロ離れた米軍基地まで運びます。一部車を使えたところもありますが、車だとタリバンに見つかってしまう恐れがあるため、大部分を重症のキンリーを引っ張って徒歩で進みます。この辺りのシーンは、舞台が中東の荒野であるという共通項もあって、1月に観た「葬送のカーネーション」を想起させるものでした。まあ「葬送のカーネーション」で引き摺っていたのは棺桶だったけど。
こうして九死に一生を得たキンリーは帰国しますが、アーメッドは依然としてアメリカのビザを与えられずアフガンに留まらざるを得なくなり、タリバンから狙われる存在になってしまいます。そんなアーメッドを、今度はキンリーが助けるというのが後半のお話でした。
目分量で言うと、概ね3分の2くらいが戦闘シーンや逃亡シーンであり、息もつかせぬ展開が続いたのは、戦争物として中々良い出来栄えだったと感じました。ただちょっと疑問というか説明が足りないと感じたのは、米兵のキンリーの戦闘能力が高いのは当然として、アーメッドがキンリーと同等か、それ以上の戦闘能力を持っていたこと。特に戦闘訓練をしたという話もなかったのに、銃の扱いは手慣れたもので、相当程度離れた相手も的確に射撃していたり、崖を転げ落ちながらタリバンの追ってから逃れたり、接近戦でも刃物を使いこなして無類の強さを見せたりと、只者じゃない動きをしたアーメッドって、一体何者なのという疑問は最後まで残りました。
まあこの点は映画のご愛敬と言えなくもないのですが、もっと引っ掛かったのが本作に「社会派ドラマ」という表現が当てはまるのかということでした。結局予定調和な終わり方をしていた点は勿論、タリバンの描き方も一方的な悪者であり、何故彼らが叩かれても叩かれてもアメリカに対抗出来るのかと言った部分には触れられていませんでした。この辺は今現在行われているイスラエルとハマスの対立にも通じるところがありますが、タリバンやハマスの理屈にも触れてこその「社会派」だと感じたところです。
また、アフガンでの米軍を中心とする連合軍による民間人の被害にも触れられておらず、この辺りもいかがなものかと思いました。2020年12月8日付の英国BBCのニュースサイトが報じた「アフガン空爆の民間人死者、3年で4倍以上に=米研究」という記事によれば、「アメリカをはじめとする連合軍の空爆で死亡したアフガニスタンの民間人の数が、2016~2019年で330%増加していることが、アメリカの研究で明らかになった。米ブラウン大学の「戦争の代償」プロジェクトによると、2019年だけで空爆で約700人の民間人が殺された。」とのこと。ちょうど本作の設定が2018年ですから、この時期に連合軍の空爆により、毎年数百人の民間人が殺されていた訳です。
勿論本作はアメリカ兵とアフガニスタン人通訳との”絆”にスポットを当てた作品であり、その他の要素を限りなく捨象することが一概に否定される訳でもないとは思いますが、もう少し多面的な捉え方をした方が、「社会派」の名に相応しいのではないかなと思った次第です。まあガイ・リッチー監督が自ら「本作は社会派ドラマだ」と言った訳ではないので、制作者サイドの本音は別のところにあるのかも知れませんが、予定調和のエンタメ要素が強い戦争物を目指すなら、「トップガン」のように敵を特定することすらしない描き方の方が、スッキリと観られるように思いました。
ただ映画としての出来栄えは優秀で、迫力満点だったので、本作の評価は★3.5とします。
ガイ・リッチーが直球で挑んだ硬い絆の社会派映画
肩コッター!
アメリカ撤退後に、 それまで通訳してた人たちが 酷い目にあっている...
アメリカ撤退後に、
それまで通訳してた人たちが
酷い目にあっているというニュースを聞いた時から、
こんな作品がいつかできれば見たいなと思っていたけれど、
想像を遥かに上回る作品でした
脚本とか細かな台詞回しとかに至るまで、
とても良かった
オトコの映画のエンディングはこうでなくっちゃ!
あらすじ読んで「浪花節なハナシだなあ」と鑑賞を迷ってたが各方面の評判が良いので観てみたら大正解、いやー良かったです。中心にはアフガン紛争でアメリカが現地協力者に永住ビザという空手形を振り出したことへの抗議という骨太なメッセージを据えながら、映画として一級のエンタメに仕上がってました。
キレがあって、テンポが良く、ダレ場がない(これ重要)。あと無駄な愁嘆場(泣き)もキレイさっぱりないです。見事な脚本で長尺化著しい昨今の映画の中、2時間(123分)の尺にキッチリ収めてます。
前半の脱出劇はヒリヒリする緊張感を上手く維持させ、帰国後の主人公の焦燥も「命の恩人を見殺しにできるか!」なんて邦画でありがちなクサいセリフは間違っても言わせず、むしろ反語的な物言いで彼の心の中を表現させてます。
後半、主人公が現地に乗り込んで通訳と再会しても、抱き合ってヨヨと泣いたりしません。
そしてラストのこの二人のシーンは鳥肌が立つ見事さでしたね。オトコの映画のエンディングはこうでなくっちゃ。さすがガイ・リッチー先生、良くわかってらっしゃる。
おまけ
クライマックスの救出劇で主人公たち絶体絶命の危機に登場する騎兵隊、まさかあんなのが来るとは思わなかった。情け容赦ないオーバーキルです(笑)
いや、面白かったですよ。けど…
此の所、ペース早目なガイ・リッチー監督ですが、前作『オペレーション・フォーチューン(23)』のレビューでも触れたとおり、若干彼の映画に興味を失いつつある私。はっきり言うと、よく考えられているのは解るけど、そんなに面白いと思わないと言うか、飽きているところがありまして。。ただ、今作はどうも毛色が違う作品性のようだし評価も高そう、ということでそこそこ悩んだ挙句に参戦です。
で、感想はというと、文句がないほどには面白いと思います。何といっても「流石、ガイ・リッチー」と思える脚本の構成こそが、この作品を映画としての「エンタメ感」を間違いないものとして成り立たせています。
ただ、どうしても文句を付けたいわけじゃないのですが、良く出来てるからこそ若干その「エンタメ感」が「作り物感」にも感じてしまう点が、盛り上がりにおいてもいまいちカタルシスまで届かないかな、と。社会派と言えるほどの人間臭さがないばかりか、何ならちょっとカッコよすぎることもあって、「ドキュメンタリーに着想を得て」と言われてもほぼリアリティーは感じられません。何なら、今どき戦争を「カッコよさ」で語ることに古さも感じるし。そしてまた、そう感じ始めてしまうと「有りがちなツッコミ」とは言え、やはり弾は当たらないものだなと思わざるを得ず。(死ぬ奴はアッサリ死ぬんだけどね)状況の悪さや戦力の違いに対して、無視しきれない「都合の良さ」が気になることは否めません。
いや、面白かったですよ。充分楽しめましたし評価点だって、平均以上の3.5つけているわけですし。ただ、他人に「劇場一般料金2,000円を払う価値はありますか?」と聞かれれば、正直「配信でもいいと思う」というのが私の個人的な評価です。ガイ・リッチーファンの方、悪しからず。
梯子を外された人たちへの償い
国の将来を、子供たちの未来を思い、裏切り者と蔑まれ、自らのそして家族の生命を危険にさらしてまでも、アメリカを信じて協力した人たち。
映画の中では、通訳のアーメッドと家族にはアメリカのビザが発給され、救出される。
しかし、エンドロールの前に、アメリカがアフガニスタンから撤退した後、アーメッドのような通訳や協力者の多くがタリバンに処刑され、あるいは今も身を隠していることが字幕で知らされる。
この映画でその事実を突きつけられる。
英国人のガイ・リッチーだからこそか。
今まさにウクライナでも同じようなことが起ころうとしている。
アメリカのなんと無責任なことか。
忘れてはいけないこと。
洒落た娯楽作品を作っていたガイ・リッチーがこの映画を作ったことは意義深い。多くの人がこの映画を観て、忘れてしまっていること、知らない振りをしていること
を考えてほしい。
梯子を外された人たちへの償いでもある。
それにしても、ヘリの銃撃で一掃。タリバンなんて人間て思ってないんだろうな。
幸せな国で、幸せな時代に生きている私たちは好き勝手なことを言っている。
せめて映画を観て考えよう。
すげーわかりやすい
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