「フィクションとノンフィクションの境目」コヴェナント 約束の救出 hkr21さんの映画レビュー(感想・評価)
フィクションとノンフィクションの境目
■ [一回目] 2024年2月25日
まず、アメリカ側もタリバン側も、どちらにもなんだけど、
あんなに簡単に人が人を殺せることが、とても怖かったです。
観賞中は、タリバンの執拗な追撃にドキドキハラハラし過ぎて、
息がし辛くて気持ち悪くなるぐらいに緊張しっぱなしでした。
音楽の煽りも上手いなと、そこは、流石のガイ・リッチー監督だな、と。
ジェイク・ギレンホールはもちろん安定の格好良さなんだけど、
とにかく、ダール・サリム演じるアフガン人通訳アーメッドが素晴らしかった。
特に山道を手押し車で運ぶ途中、
登り坂で渾身の力を振り絞って押すのだけれど動かなくて、
悔し泣きなのか、精神的な辛さなのか、身体的な辛さなのか、
きっとその全てがごっちゃ混ぜになって、自然に涙が出てしまっているような
男泣きのその演技がスゴかった。
満身創痍でアーメッドに救出され、アメリカに無事帰還を果たしたが、
自分を助けたために、アーメッドがタリバンに狙われていることを知ったキンリーは、
彼を救うため再びアフガニスタンへ向かう。
ラスト、
アーメッドとその家族を救い出したが、
またも、タリバンの追撃にあい、
もう、やめてーってところで、
味方の空爆にタリバンが一網打尽にされるんだけど…
それはそれで、また怖いと思ってしまって…
でも、
アーメッドとジョン・キンリーが無事で良かった良かったと感動していたところに、
300人のアフガン人通訳と家族が殺されてしまったとの字幕が出て、
一気に現実に引き戻されて、
実際には、アメリカのやったことは正しいのかも判らなくなって、
とても悲しい気持ちになってしまいました…。
フィクションとして友情や絆に感動し、
ノンフィクションとして世界情勢について考えさせられる佳作です。
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■ [二回目] 2024年3月12日
もう一度、アーメッドとという人に
どうしても会いたくなって、二回目の鑑賞。
一回目は、戦争の恐怖に萎縮しすぎて、
なんだかあっという間で、
とにかくアーメッドに圧倒された感じでしたが、
今回は、ジョンの感情、仲間を失ったときの細かい動きや、
アメリカに戻ってからの激しい感情の演技もじっくりと堪能できました。
そして、じっくり観れたらいろんな約束に気づかされました。、。
アーメッドとジョンの契約
アーメッド側からとジョンからだと、それぞれの意味と重さが違う。
アーメッドにしたら、
あの状況じゃ、命落とすか、ジョンを助けるしかないじゃないか…。
でも、そこには、タリバンに殺された息子の青い目の色と同じ
というセリフにあったように、
家族に似た友情や仲間という感情があってからの、あそこまでだと思いたい。
ジョンにとっては、呪い的にもなってしまったけど、
戻らずにはいられない彼の真っ直ぐさと強さに心を打たれました。
パーカーとジョンの契約(合意)
パーカーの契約なのか合意なのだか、軽い感じが、
アメリカノリで、少し鼻についたなー 笑
奧さんとジョンの約束
信頼だよね。奧さんカッコ良かったです。
そして、現実のアメリカ軍とアフガニスタン通訳の契約
タリバンもイヤだけど、アメリカ側のビザの発行を条件にしたそうだが!
撤退して、300人も殺されていて、身を隠している人が数千人で、
その約束が有耶無耶なことが一番モヤモヤするの…。
この作品は娯楽としての面白さと、ノンフィクションの心の痛さが共存していて、
非常に複雑な気分の自分が残る…。