劇場公開日 2023年9月1日

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「キングスレーならではのダリの人物像が愛らしい」ウェルカム トゥ ダリ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5キングスレーならではのダリの人物像が愛らしい

2023年8月30日
PCから投稿

ピンとはねた髭とカッと見開いた瞳。名優ベン・キングスレーと20世紀芸術を代表する巨匠ダリとの異様なまでのこの親和性は一体何なのだろうか。本編の素っ頓狂かつエネルギッシュな立ち居振る舞いからは、これが『ガンジー』のタイトルロールと同一人物だと想像がつかないほどだ。本作はダリとその妻ガラの特殊な夫婦生活に焦点を当てた物語であり、それを若きアシスタントの目線で見つめた目撃型のヒューマンドラマとなっている。70年代、ニューヨーク滞在中のダリは展覧会のための作品制作もそっちのけでパーティー三昧。そこに集う人々の目の眩むような豪華さを印象付けながら、宴のあとの芸術家の素顔にも興味をそそられっぱなし。泣きわめいたかと思えば真剣に作画に打ち込んでみせたり、また妻の浮気が気になって、あれこれ画策しだしたり・・・キングスレー演じるダリは子供のような一面を持ちつつ、妙に観る者の胸に棲みついて離れない魅力がある。

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牛津厚信