「戦争は生きても死んでも苦痛・・・」アウシュヴィッツの生還者 sallyさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争は生きても死んでも苦痛・・・
この季節この所、新宿武蔵野館のある意味恒例となった第二次世界大戦モノの上映作品、今年は「アウシュヴィッツの生還者」が上映、見てきました。
全編、重厚な内容でとても良かった・・・・
この手の作品を見て思う事は、悪いのそれぞれの関わってきた人間が悪いのではなく戦争そのものが悪いので、一番悪いには、戦争を起こした発起人だと思う。
ユダヤの人、ドイツの人のそれぞれの立場が描かれていますが、見ていて確かにドイツ兵のやった事は酷い事なんですが、あの時代、戦争の発起人たちの洗脳があるからこそ人道的な考え方ができなかったように気がします。
しかし、今、現在でアジアで戦争が起きれば、日本人は現在のユダヤ人として扱われるでしょうね・・・
本作品、第二次世界大戦でドイツ兵の捕虜となったユダヤ人がボクシングを通して生き残っていく為の選択を迫られそれに苦悩して戦争が終わってもその悪夢に追い詰めながら生きて行き、また同時にたった数ヶ月付き合っては、離れ離れになった恋人への想いが同時に描かれていて、最後は本当にほろっとさせられたな・・・
本作品、重厚の内容の上に淡々とお話を描いているので、お話に山がある訳でもなく谷がある訳でもないんですが、本当に最後に、引き裂かれた元恋人の再会のシーンを見るだけでも本作品の価値があると思います。
本作品、自分に置き換えて見ても、当時として描いてみても本当に考え深い作品でした。
生きるために生き抜く為にどう選択するのか、どう生き抜いていくのか・・・・
戦争とは、地球上のモノを破壊、人を殺すだけではなく、生きていく人にもその後に苦痛を植え付けるモノであり、本作品のお話はその中のひとつ過ぎず・・・・多くの人の人生を奪い苦しめるモノだと痛感しました。
キノフィルムさん本作品の配給をありがとう!