ウイング・アンド・プレイヤーのレビュー・感想・評価
全2件を表示
実話に基づくが、脚本に難あり
主人公の薬剤師ダグが冒頭、指導者付きで単発のセスナ機を操縦する場面が描かれ、どうやら操縦があまり得意でなさそうな様子が示される。そんなダグが後妻と2人の娘と一緒に双発のビーチクラフト・キングエア機(セスナより少し大型で、計器類もより複雑)に搭乗して移動するが、飛び立ってほどなくして高齢のパイロットが急死。ダグは無線経由で管制官とキングエア機の操縦経験があるパイロットの助けを借りながら、初めて操縦する機体で何とかフライトを続け、指定された軍の飛行場に着陸させようと試みる――。
パイロットが何らかの事情で操縦不能になり、経験が浅いか素人の登場人物が代わりに操縦を任されるという航空パニックサスペンス映画は過去にもあったが、本作は実話に基づいている。ちなみにタイトルに含まれるプレイヤー(prayer)は「祈り」の意味で、クリスチャン映画としての要素も若干ある。
主人公にデニス・クエイド、その妻役にヘザー・グラハム、監督は「ソウル・サーファー」のショーン・マクナマラと、座組は期待が持てそうだ。ちなみにデニス・クエイドは実際に小型機を操縦するライセンスを持っていて、2010年代にはプロペラ機と小型ジェットの計3機を所有していた。過去の出演作でも、「ライトスタッフ」と「フライト・オブ・フェニックス」でパイロット役を演じている。
しかしながら、本編102分という決して長くはない尺のうち、余計なプロットが多すぎて唖然。最たるものは航空マニアの子供2人をめぐるエピソードで、ダグと管制とのやり取りを傍受してパソコンとネットで機体の現在位置をチェックし、さらには着陸を試みる基地に駆けつけるのだが、びっくりするくらい本筋に絡まない。メインのストーリーだけでは物足りないと思ったか、それともファミリー層へのアピールを狙ったのか。なんにせよ、もっと締りのある脚本だったらデニス・クエイドの好演も活きたのに、と惜しまれる。
実話の重みに頼っただけ・・
On a Wing and a Prayer,翼と祈りでというタイトル。
家族を乗せた双発のプロペラ機、チャーター便らしいが操縦士が急死、そりゃー祈りたくもなりますね、アメリカで 2009 年 4 月の復活祭の日曜日に起きた実話だそうだ。
操縦桿を握った父親はずぶの素人でもないところが微妙、セスナの操縦見習い程度の経験からなんとか生還を果たすが、操縦を遠隔で教えた同型機の元パイロット夫婦のアシストがあったればこそ。レベルが違うが「アポロ13」の時も窮地を救ったのは地上にいる同僚や技術者といったバックアップ体制の大切さでは通じるものが感じられる。
実話ベースとはいえ映画だから脚色はありでしょうが、管制官のバーでのくだりや飛行機マニアの子供の狂言回しのような役どころは無くてもよかったでしょう。
映画では主人公が頼りなさそうに描かれるが実際の御本人はセスナのパイロット免許は持っており飛行時間は130時間弱程度あったらしい、それに、チャーター機も元は彼の所有で会社に貸し出ししていたものというから多少は知識を有していたとみるのが自然、事実では彼は一回目の着陸で成功しており、再試行は無かったそうですから映画はちょっといじり過ぎかも・・。
航空パニック映画は70年代のエアポートシリーズを始めパニック映画の王道、最近では「元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件」のようなコミカルなものまで登場、そんな流れを観てアマゾンが製作を思い立ったのでしょうかね。実話の重みに頼っただけの凡庸な映画でした。
全2件を表示