「恋の喜びと不安を丁寧に」その恋、自販機で買えますか？　あまよんさんの映画レビュー（感想・評価）

ありきたりな日常に芽生えた恋を丁寧に綴ったとても素敵な映画でした。ちょっとずつ近づいて､それがとても嬉しくてどんどん好きになっていくけれど、なぜか湧き上がる不安。そんな誰もが感じたことのある恋する気持ちが焦ったいほどに描かれています。大きな事件も激しい感情のぶつかり合いもないのに夢中で見ていられたのは演者さんの巧みな演技です。松田凌さんは舞台で活躍されている方ですが、自然で繊細な演技で恋する三十路のサラリーマンを演じ､田鶴さんは朴訥に見えて真っ直ぐな年下の青年を好演。柳ゆり菜さんのさりげなく背中を押す姉御肌な大石さんはとても共感できました！インディーズっぽさもある意味リアリティがあり､日常的な恋を描いた原作を損ねなかった？かも？そのように原作を丁寧に映像化しており、東京の一箇所だけで終わってしまうと全国の原作ファンが可哀想だし勿体無いので是非上映館数を増やして欲しいですね。