ハンガー 飽くなき食への道のレビュー・感想・評価
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欠点が見つからない、説得力のある作品
主役オエイは大衆食堂で調理する女性だが、高級ケータリングサービスのシェフ・ポールに見出されて、そこで働くようになる。今の仕事があるのになぜとも思うが、家族が営んできた食堂の後継者として、恐らくは内心忸怩たる思いで働いてきたことがわかる。友だちの多くは企業で働いていて不平は言いながらも充実しているのに、自分はこんなところで何でくすぶっていなければならないのか、そんな思いが誘いに乗った理由だ。
つまり、自分にはもっと価値があるはず、と思って飛び込んだ先で「調理」だけにおさまらない苦闘・苦悩・矛盾に苛まれる話。
エリート達と食事にまつわるイヤ〜な描写はとても社会性があるし、グロテスクでもある。特権階級の傍若無人さは、タイ社会でどこまでリアリティーがあるのかわからないが、いるだろうね程度の現実感はあるし、なにより戯画的で「嫌ら楽しい」表現だ。
主役を演じる女性(タイの名前は聴き馴染みがないので表記しないが)は、市川実日子と吉田羊を混ぜたような面相を持っていて、激しい泣き笑いの演技はしないのに、彼女が何を思っているのかがよくわかる。
ストーリーは、成功をつかむためにどんな努力もいとわないし、それがのちに成功につながる、というものではない。そうだったとしたら、この作品の価値は100分の1ほどになっていただろう。進んでは前のエピソードの反映が示され、また進んでは別のエピソードの影響が本筋に及ぶという、いわゆる伏線回収が何度か行われ、しかも作品全体としてそれらがどれも意味を持つ。
周りの人物の重層的な描かれ方も素晴らしく、オエイは決してただ「努力する人」ではないし、ポールは当然として、次のレストラン経営者も表面上はいい人っぽいけど、なぜ彼女を雇ったかというと「若くて容姿がいい」だったりする辺りが嫌な感じ。
どれだけ仕事に真剣になっても、その仕事の先にある「渇望」が身にするためでなく単なる消費(超絶豪華な消費!)であることを知ってしまったあと、それでも続けるとしたらどんな気持ちで対していけばいいのか。きっとそれが「失う」ことなのだろう。
どっちらけ
中華鍋のあおりだけは上手な屋台飯屋の子が高級の洗礼をうける話。
克己主義の料理長から「ダメだ!やりなおし!」てなぐあいにド根性論できたえられる陳套な展開。
映画/ドラマにでてくる厨房でかならず星一徹と飛雄馬が罵り合いをやっているのはそこが厳しい世界なんだぞと言いたいから。だがじっさいは修羅場からエンタメ性を抽出しているに過ぎない。リアリティ番組で喧嘩が勃発したときの感じor“虎”でかりそめの成功者が出資希望者をくそみそにこきおろす感じ。
ただそれ以前にキャラクターもコンポジションも心象も斜めでつかめない。
欧米韓の妥当な映画/ドラマに慣れていると辻褄からズレているものが気に障る。
料理長の暴君が酷すぎて刺されるところはもはや笑った。なにやってんの、このひとたち。
高級に寄せていることも現代からズレていてTiktokerやYoutuberに見られる街屋台で一流シェフより稼いでいる人は大勢いるだろう。貧乏人がまずいものを食ってると思うのは時代錯誤で、そもそもタイには世界に冠たる食文化が花開いているにもかかわらず、なぜものの価値のわからない泡沫な金持ちに高級を提供しなきゃならんのだ──という話。
料理も調理もつっこみどころ満載で、経験ある人ならなおさら。厨房でタバコを吸い、見つかって怒られるシーンがあり、高級のレベルがはかりかねるし、被っていない頭から髪が料理に混入するであろうことは必至だった。
映画は曲折をへて、クオリティオブライフ(実際的な充足感)として元の屋台に戻ると結論するのだが、フラグによってそうなることが始めからわかるし、けっきょくきみは何をしたかったのという感じで全体が転倒していた。
ご存知かもしれないがタイのCMで検索すると感動的なのがいくつか出てくる。なぜあれを長編化しないのか──と思う。
あのパワハラ系音楽映画と比べられちゃうけれども・・・果たして。
実は極めてシンプルな構成と複雑な交差した枝葉で見事なレイヤーを為してる傑作。🎦セッションを想起した人は多いようだが全くの別物である。🎦セッションではその師が何故あれほどの厳しい指導を必要とするのかその根拠が明かされていないが。本作品ではその点は明確である。所謂苦労人である師匠と天才肌の主人公のコントラストがそのテーマだからだ。貧困から抜け出したい主人公と頂点を維持するために料理の本質からズレ始める師と頂点に立つことのむなしさと同時に料理の本質に気付く主人公は、その気付いた真実が単に料理にとどまることなく森羅万象の真実であることに観客を気付かせるこのテーマの壮大性は総会である。
飯は緊張せず食べたい。
前半は成り上がりモノで楽しく観れた。
後半はバトルものだけど、
そもそもポールシェフの信念は料理そのものには
ないので、こうなるのか…とやや冷めてしまった。
だけど、物語はしっかりしてて、
タイの格差を下地に、
どうやったら上に行けるかと言うところから始まって、
化け物であるシェフに出会い、
最初は私も!と言う感じになるのだけど、
違和感を覚えて対立さして行く。
認められたいと頑張る前半が一番面白かった。
中盤はシェフが下の者に反感を買われ過ぎて、
偉大さを損なった感じが残念だった。
結局、飯は誰と食べるか、
落ち着いた雰囲気で食べるのが一番だと思いました。
横暴なトップシェフvs才能のある弟子
下町の食堂で働くオエイは高級料理店「ハンガー」の料理人にスカウトされる。
しかし入った世界は横暴なトップシェフのクオリティに応えなければならない厳しい世界だった。
顧客の要望の上を行こうとするシェフもカッコいいし、それに追いすがる主人公オエイもカッコいい。
ただ個人的にはエンディングまでヒリヒリとした感じを引っ張って欲しかったかな。
パワハラの連鎖
成功してたらパワハラしてなんぼな感性、20年前の感性?
ハンガーのシェフが新入りの子にパワハラするまではギリわかるけど、パワハラされた当の彼女が独立した後にやはりチームメイトに対して皿を投げつけるなどパワハラしてるあたりなんじゃそれとなった
『直火の力』をリスペクト。
『シェフの料理が客にとって重要なのか?』
『まだ、序の口だ。これから失うものはたくさんある。』
いい言葉だ。
さすが、小乗仏教の世界だ。
飽食とは下品なものだ。なんかそう言っていると思った。
つまり、食とは生きて行く為にある。
そう言っている。
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